2:名無しNIPPER
2015/05/24(日) 23:05:52.61 ID:zFmBZDss0
一目惚れ。
俺にとっての彼女との出会いは、その一言に尽きる。
得意先の会社へ打ち合わせに行ったとき、偶然、彼女とすれ違ったのだ。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:06:50.80 ID:zFmBZDss0
彼女は俺の突拍子もない行動に、いぶかしみ、戸惑っていたようにも思う。
確かに我ながら、最悪の交渉だったと思う。突然声をかけ、アイドルにならないかと誘う。
ナンパまがいの声の掛け方だ。下手をすれば通報されかれなかった。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:08:02.01 ID:zFmBZDss0
スカウトから数ヶ月。
彼女の実力は驚くほどに向上していった。
特に歌唱力の面はずば抜けており、100年に一人の逸材だ、とも言われていた。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:09:10.51 ID:zFmBZDss0
幸せだった。本当に。
思えば、その頃が幸せの絶頂であったと思う。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:11:11.61 ID:zFmBZDss0
やがて、彼女は本格的に売れ始めた。様々なメディアの露出が増えていき、まさに引っ張りだこ、という状態だった。
それと同時に彼女の働きを評価された俺は、彼女だけでなく、ほかのアイドル達のプロデュースも任されるようになっていた。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:12:14.54 ID:zFmBZDss0
だが、そんな生活も長く続かなかった。
少ない睡眠時間、蓄積する疲労、膨大な仕事、他のアイドル達のミス、彼女に会えない時間。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:14:21.31 ID:zFmBZDss0
そのことは当然、彼女の耳に届いていた。
入院して2日目、彼女は自分が忙しいにもかかわらず、俺に会いにきてくれた。
前回会ってから一月以上たっていたかと思う。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:16:28.57 ID:zFmBZDss0
病院を退院し、倒れた分を取り返せねばと出社したとき、俺を待っていたのは
部長の高垣楓のプロデュースの任を解く、という言葉だった。
目の前が真っ白になった。どうしてという言葉が頭の中を埋め尽くした。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:17:48.84 ID:zFmBZDss0
それから俺はどん底まで堕ちていった。
営業成績は急落し、書類の作成もままならず
11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:19:03.94 ID:zFmBZDss0
そして遂に俺は、詐欺まがいの仕事を契約をし、会社に多大な損害を与えてしまう。
しかし、俺はそれらに何の思いも持たなかった。
もう、何もかもどうでも良くなってしまっていた。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/24(日) 23:20:55.60 ID:zFmBZDss0
そして現在。会社を辞めてから3ヶ月くらいたっただろうか。
俺は誰もいない実家で引きこもっていた。
毎日ただただテレビを眺め、眠る。そんな生活を送っている。
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