536:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 06:02:47.86 ID:5Odf4h8ko
次第に自分が拒絶されているかのような気持ちになり、百合がマイノリティーであるかのように感じられる日々が続いた。
でもそれは和ちゃんにとってありえないこと。
『お前は人間ではない』と言われたに等しい。傷付かないわけがない。
しかし私といる時はネガティブなことは一切考えず、純粋に百合を語り合い、楽しい時間を過ごそうとしていた。
『健夜さんの百合観に影が差すようなことにならないように、明るく振る舞おう』と。
小学生ながらそこまで考えていたのかと感心する一方、そんな和ちゃんの内面に全く気付いかずにいた自分に頭に来た。
でも今はそれよりももっと深い記憶の底まで潜り込もう。
和ちゃんの奥へと私は進んでいった。
すると和ちゃんが底なしの力を秘めていることに気付き、とても驚いた。
それは『百合を支配する能力』
本人の思い込み次第では最強であり、最悪にもなり、無力にもなる。
過去出会った能力の中で最も危険な代物。
今の和ちゃんは百合妄想はしても、百合妄想士である自覚はなく、能力にも気付いてない。
でももし今の心理状態で自身の才能に気付いてしまったら……。
健夜(学校から男子が全員いなくなることもありえる……いや、攻撃性が現れたらもっと悲惨なことも……いくら和ちゃんが優しくても、悪い感情を一瞬も抱かずにいられるわけがない)
このあと、私は和ちゃんを落ち着かせてから、ご両親に和ちゃんの能力について話をした。
そして出た結論は、しばらくの間、和ちゃんから百合を遠ざけることと、
和ちゃんの精神が不安定にならないよう、私がポジティブな記憶を書き加えるなどのサポートをすることだった。
しかしどちらも効果はなかった。
和ちゃんにとって、百合は人生そのものであり、百合を遠ざけることすらも百合であるという思考回路。
私の能力はその思考によって打ち消されてしまう。
幼いながらも和ちゃんの力は私に対抗しうるだけのものを持っていた。
そんな日々が続き、事態はさらに悪化していった。
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