過去ログ - 提督「なに? LULLだと?」
1- 20
1:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 01:27:33.29 ID:/StSlAX00
他スレから影響を受けた。一発ネタも八作目。短いです


憲兵「くそが。最近の仕事の忙しさは冗談のようだ」

浜風「おや? 「冗談のよう」とはとても仕事を楽しんでいられるのですね。羨ましい限りです」

憲兵「……七日の不眠不休で世界一つが出来上がるならば、俺は既に七個は世界を創れていたはずだ。鎮守府の馬鹿どもの相手をしていなかったらな」

浜風「冗談のようですね」

憲兵「だから冗談なんだよ」

浜風「クスリともできない冗談です。楽しくありません」

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 01:39:00.94 ID:/StSlAX00
憲兵「あ!? お前が頓珍漢な返しをしてきたから、俺も不器用な返しをするしかなかったんだろうが!」

浜風「不器用とはいい言葉ですね。不器用な男とコミュ障な男のどっちかを選べと言われた、間違いなく前者を選んでしまいます。同じことですのにね」

憲兵「あー、もう俺が悪かったよ。ジョークセンスなくて失礼したな」
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 01:50:02.70 ID:/StSlAX00
憲兵「………なんなんだ。というか、お前が来てから妙な事件にばっか巻き込まれている気がするんだが? だいたいそのせいで俺は今愚痴っているわけだ」

浜風「気のせいです。言いがかりはやめてください」

憲兵「いやでもな、明らかに厄介な事件が増えてきているんだよ。セクハラ提督ばっかを追っかけまわしていた頃が懐かしい」
以下略



4:名無しNIPPER
2015/05/26(火) 01:57:15.20 ID:nWsxhHou0
例の哲学の人かな?


5:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:03:58.54 ID:/StSlAX00
浜風「そうですか。では、平和を謳う高貴な精神には神の恵みがあります」

憲兵「あ? 恵み?」

浜風「労働のない余暇が与えられるということです」
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:09:16.58 ID:/StSlAX00
憲兵「神の言葉も安くなったもので」ソワソワ キョロキョロ

浜風「? 落ち着きがありません。どうしたのですか?」

憲兵「いや、この辺のホテルを探しているんだ。デートはそれからだ」
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:20:34.80 ID:/StSlAX00
憲兵「あ? なんだよ? 浜風の聖書には俺を正しく昇天させるって書かれているんだろ? 性書だけにな。ハッハッハ」

浜風「これまでで一番下劣でくだらない洒落ですね。今この場で逝かせてあげてもいいのですよ?」

憲兵「………じゃあ何するんだよ? デートなんてセックスの誘いの婉曲表現だろ?」
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:32:05.23 ID:/StSlAX00
浜風「どうしましたか?」

憲兵「いやいや! 今時デートに美術館ってお前………硬派とかそんなものじゃねえよ」

浜風「不満ですか?」
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:38:41.31 ID:/StSlAX00
浜風「それらはやはりどこまでいっても偽物ですから」

憲兵「意味が分からない。美術館こそ偽物の巣窟だろ?」

浜風「………」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 02:58:56.45 ID:/StSlAX00
憲兵「これはどういうことだ? いつもは購買の焼きそばパンの棚ほど空っぽなのに、今日はコッペパンほどにぎっしりだ」

浜風「コッペパンですか。そうですね。いつの時代も流行に惑わされる野次馬の中身なんてものは無味乾燥です。売れ残り連中というわけです」

憲兵「美術館の前にどうして百人単位の行列が出来ているんだ!? というかなんだか騒がしい! うるさい! マスコミもいるし、『艦娘も同じ人間だ!』という横断幕を掲げたデモ隊もいるじゃねえか!? どういうことだ! 説明しろ、浜風!」
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 03:25:30.54 ID:/StSlAX00
憲兵「じゃあ何があったんだよ? わざわざ誘ってきたんだ、お前はこの騒ぎを知っていただろ?」

浜風「以前ここで艦娘が芸術作品として展示されたのです」

憲兵「艦娘がか?」
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 13:41:42.82 ID:/StSlAX00
憲兵「それがこの混雑の原因なんだな?」

浜風「そうですね。人気を得たいならば、嫌われ者を手元に置いておくことが良いという例です」

憲兵「それでもこんな正義の怒声が響くには不十分に思える」
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 13:55:33.88 ID:/StSlAX00
憲兵「チェスかい?」

浜風「ええ。チェスです。これ以上とない比喩です」

憲兵「そうか」
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 14:19:13.95 ID:/StSlAX00
憲兵「お? 扉が開いたな。おお、おお。人がなだれ込んでいくじゃないか! ホースの先を細くすれば水は勢いよく出るが、人ごみでも同じだ。扉が狭ければ狭いほど勢いづく。違いは澄んだ水遣りは虹を作るが、澱んだ人ごみは何も作らないということだ」

浜風「しかし、彼らは満足しています。というのも、あんな狭いところを通過するんです、「狭き門より入れ」という美徳を実践している気になって自分の正義を信じて疑わないのですから。彼らにとって最高の美徳は人ごみに揉まれて雑巾のようになることです」

憲兵「瞬く間にあの正義のパレードが吸い込まれていった。酔っ払いの合唱団が消えたから、後に残るのは雀の小さなさえずりの通底音だけだ」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 17:04:28.11 ID:/StSlAX00
憲兵「中は思ったより静かだな」

浜風「美術館という場所は沈黙しているだけで教養が高まった気がするので、わざわざ自分の知性がいかに洗練されているものか声高に言い立てる必要がないですからね」

憲兵「それにしても目当てのものは分かり易いな。人垣ができていやがる」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 17:16:24.04 ID:/StSlAX00
憲兵「鎮守府ごとにハートロックは異なるが、あれはかなり特殊だな。丸い四角形の錠なんて見たことがない」

浜風「あれはこの作品を創った芸術家のオリジナルらしいです。正しく世に二つとない唯一無二の錠です」

憲兵「あれを単品で展示すれば良かったんじゃないか?」
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 17:55:30.31 ID:/StSlAX00
憲兵「この場合だと、錠が絵だとすると五十鈴が額になるのか?」

浜風「正確にはあの立て看板も含めて額です」

『ご自由にどうぞ』
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 19:08:45.45 ID:/StSlAX00
浜風「電車に老人がやってきて、誰も席を譲らない状況のように沈黙しています」

憲兵「困難な善行より容易い善行の方が時として為されえないということがあるということだ。さて、どれぐらいこれが続くかね」

浜風「小学校の演劇の主役決めに似た空気の重さです。みんなそれを指名されたら喜んで演じるだろうけれど、自ら名乗り出る勇気はない膠着状態です」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/05/26(火) 19:36:16.11 ID:/StSlAX00
浜風「拍手が起こっています。私達も拍手しましょう。彼の善意に」

憲兵「一気に和やかな雰囲気になったな」

浜風「しかし、係員が二人目の五十鈴を連れてきて台座に置きましたよ。また沈黙に陥るのでしょうか」
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/05/27(水) 00:32:19.17 ID:H3WN2z1p0
§

浜風「あれからあの展示は定期的に為されました」

憲兵「そうだな。連日美術館が遊園地のジェットコースター並の人気を得たという異常事態だった」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/05/27(水) 00:44:24.03 ID:H3WN2z1p0
浜風「しかし、彼はもう展示をやめるらしいです」

憲兵「どうして?」

浜風「もう必要ないと言っています」
以下略



29Res/17.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice