過去ログ - 安部菜々、魔法少女になる。〜PROJECT G4〜
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4: ◆2YxvakPABs[saga]
2015/05/26(火) 22:13:01.94 ID:6BW4cku00
 半分、この状況に諦めているような菜々の質問に、プロデューサーは淡々と答える。
 妖精という単語に、不思議そうに彼は首を傾げた。

「妖……精……? いえ、私はそのような非現実的な存在ではありません」

 彼の言葉を聞いて、とりあえず菜々は安堵した。夢とは言え、その非現実的な存在に変わる瞬間を、菜々は前に見ているのだ。
 しかし、彼が妖精などではないことは、彼自身の口によって証言された。これで妖精ならとんだ詐欺である。
 妖精じゃないじゃない詐欺だ。

 そこで菜々は、もしかしたら、今回のこれこそは現実で、この誘いも声優としてのお仕事かもしれない、と淡い期待をし始めた。
 そんな微かな期待を持ち始めた菜々に、プロデューサーは低い声で語りかける。

「P16星雲TAKEUCHIの国からやってきた……宇宙人です」


「妖精と変わんないよッ!!」


「正確には、TAKEUCHIの国によって創られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース……それが私です」

「だから、何も変わらないですよ!!」

 手に何かを持っていたら地面に叩きつけているところだ。普段ウサミン星人と自称する菜々だが、宇宙人ですと言われて、はいそうですかと言えるわけではない。
 彼女からすれば、妖精も宇宙人も等しく非現実的な存在だ。菜々には、ブロッコリーとカリフラワーくらいの違いしか感じられなかった。
 あるいは、ピーマンとパプリカ。
 またあるいは……いや、そんな野菜の違いはどうでもいいのだ。

 要は、またアニメの仕事ではないということだ。まして、普通のお仕事であるとは思えない。

 すると、プロデューサーの体が突然ボワンッ! という音と共に煙に包まれた。
 モクモクと立つ煙は、プロデューサーの姿を丸々隠してしまう。

 菜々には、嫌な予感しかしなかった。
 このパターンは、実に良くないと菜々は経験から来る勘を働かせる。彼女の頭の中で警報が鳴り響いていた。
 潔く逃げよう。彼女がそう思い、片足を後ろに下げた時には、既に遅かった。

 煙が晴れ、プロデューサー『らしき』生き物が現れたからだ。

「これが私の……真の姿です」

 ラスボスのようなセリフを吐くその生き物は、猫くらいの大きさに純白の毛に包まれた体。尻尾は触るともふもふしていそうなほど大きく、背中には赤い線が模様のように入っている。そして、耳からは何とも説明できない長い何かが生えていた。

 ――前回同様、顔はプロデューサーのままだ。


「ま た こ れ だ よ ! ! 」



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