過去ログ - 安部菜々、魔法少女になる。〜PROJECT G4〜
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◆2YxvakPABs
[saga sage]
2015/05/26(火) 22:14:52.38 ID:6BW4cku00
一度目が合ってしまったからには、無視は出来ない。隙間が小さくて、誰が覗いているかは分からないが、どこか微笑んでいるような気もする。
数秒間見つめ合った末、菜々がおいでおいでと手で招くと、扉が大きく開かれた。
そこから現れた少女は、菜々以上に小柄で、薄いクリーム色の髪を赤いゴムでツインテールに結っている。結んだ髪は、腰あたりにくるくらいに長い。
サラサラとした髪をなびかせながら、少女は菜々の元まで走ってきた。
「菜々ちゃんも魔法少女になるのっ!?」
「ち、千佳ちゃんっ」
菜々に対してキラキラとした瞳を向けているのは、横山千佳だ。小柄なのも当然で、彼女はまだ小学3年生である。
彼女の登場に目を丸くする菜々。だが、それよりも千佳が気になる事を言っていたことに引っかかった。
「菜々ちゃん……『も』?」
バッ! とプロデューサーに顔を向ける菜々。
自分に視線を向けられた意図を理解したプロデューサーは、静かに答えた。
「契約済みです」
「ついにプロデューサーが幼女に手を出して……」
実に誤解を招きそうな言葉である。今の会話を録音して警察に提出すれば、確実にプロデューサーの手にワッパをかけられるであろう。
そんな言葉の意味を理解していない千佳は、相変わらず菜々に向けて期待の視線を向けていた。
その瞳が眩しすぎて、菜々は思わず目をそらしてしまう。
「なっていただけませんか」
「いや、だから、ナナは……」
プロデューサーの誘いを、手のひらを向けて断る。
「菜々ちゃん、魔法少女にならないの……?」
菜々にその気がないとわかるや否や、しゅんっとあからさまに落ち込む千佳。まるで捨てられた子犬のような瞳を向ける。
――うぐっ。
菜々に非はないはずだが、なんとも言えない罪悪感にかられた。
しかし、出来ない約束をするほど、菜々も子供ではない。
「千佳ちゃん。ナナは、歌って踊れる声優アイドルになりたいですよ。魔法少女役の声をあてることはあっても、魔法少女そのものになりたいわけじゃないんですよ」
視線を合わせるようにしゃがんで、そっと、優しく諭す。もちろん、これは本心であり、菜々の夢だ。
菜々の曲げられないところでもある。
まっすぐ見据えられて、千佳も菜々の言い分を理解したのか、コクっと残念そうに首を縦に振った。その仕草がますます彼女の罪悪感を刺激する。
「でも、魔法少女になったら、どんな願いでも1つだけ叶えてくれるんだよ?」
「プロデューサーさん! 実はナナ魔法少女にもなってみたかったんです!」
千佳の言葉に反応する菜々は、気が付くとそんな事を口走っていた。その直後、しまったと思ったが、一度口にしてしまった手前、撤回も出来ない。
千佳が仲間が増えるのを喜ぶように、晴れやかな笑顔になっていたので、それを見た後では尚更撤回など出来るはずもなかった。
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