過去ログ - 艦隊これくしょん 〜艦これ〜  Bright:金剛
1- 20
237: ◆li7/Wegg1c[saga]
2015/11/05(木) 00:30:21.29 ID:g6rQ0YjM0

「もう! 千歳お姉、迷惑かけちゃダメでしょ?」

「えへへ・・・。ごめんね」

妹に平謝りする千歳を見て祥鳳は微笑んだ。

(仲の良い姉妹か・・・)

彼女は二人を少し羨ましく思っている自分に気付き、慌ててその気持ちを振り払った。

もう自分にはいないからって、仲良くしてる他の姉妹を羨んじゃいけない。

そう戒めても、時々この気持ちがふっと湧き出てしまう。そんな未練がましい自分が嫌だった。なにより自分を姉と慕ってくれている大鯨や電達にも失礼だ。

一方、千歳と千代田はそんな祥鳳の胸の内など知る由もなく、水上機について話し始めた。

「でもやっぱり千歳お姉は瑞雲捌きがカッコいいよね!」

「いえいえ、私もまだまだよ。瑞穂さんには敵わないもん」

「みずほですって!?」

寝耳に水をかけられた祥鳳は思わず叫んでしまった。

「今どこにいるんですか、私の妹は…? みずほは今!?」

「え、えっと…。そちらで水上機を飛ばしてますけど、さすがに妹では…?」

驚いた千歳が指を指す方向へ祥鳳は駆け寄った。そこでは和服を着た長身長髪の女性が水上観測機の整備をしているところだった。

「みずほ! みずほよね!?」

『みずほ』は静かに後ろを振り向いた。

「あの…。瑞穂に何か御用ですか?」

その瞬間、祥鳳も悟った。どう見てもこの女性は私の妹ではない。目の前の清楚な美女はどう考えても生き別れた妹どころか、祥鳳よりも年上だった。

それでも祥鳳は希望を捨てきれず、ひとつだけ尋ねた。

「あ、あの…。もしかして、貴方に姉妹はいらっしゃいませんか…。生き別れの姉とかは…」

「いいえ、私は一人っ子ですよ」

「そうですか…」

祥鳳はがっくりと肩を落とした。

「ごめんなさい、騒いでしまって…。人違いでした」

「いえいえ、誰にでも間違いはございます。お気になさらないでくださいね」

「はい、哨戒任務中に失礼しました」

「いえいえ。では、瑞穂も失礼いたします」

瑞穂はおおらかな表情を崩さぬまま一礼し、観測機達を再び海へと解き放った。

うぐいす色の和服を着た彼女は、まるで竹取物語のかぐや姫のような高貴さを放っていた。

祥鳳はその美しい姿に見とれたが、それ以上に落胆の方が大きかった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
263Res/273.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice