162:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 00:23:58.32 ID:JvL7p5r+0
どうして彼が僕の事を、彼女の事を知っているのか。
どうやってそれを知ったのか。
それを踏まえた上で僕に知ってほしいこととは何か。
彼の感情の奔流の理由は。
……知りたいことは山ほどあった。
それでも、僕の口は動かない。
動かすことができない。
それは彼から発せられる鬼気の所為もある。
だけど、それ以上に『逃げる』という言葉が僕の心を深く抉ったからだ。
僕に逃げるつもりはない。
彼女が、彼女たちが僕の断罪を望むのなら、受け入れる。
そこに躊躇いはない。是非もないことだ。
だけど、そうであっても、どう理由をつけても。
『逃げる』という言葉は僕の心をどうしようもなく……抉らせた。
提督「下がれ」
気づかぬうちに呆然としていたらしい。
提督の言葉でようやく僕は思考の淵から戻ってこれた。
「……はっ。失礼致します」
敬礼を提督に向けた後、背を向け、扉へと向かった。
気分は悪くない。
だけど僕の足はどうにも重かった。
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