206:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 00:54:43.60 ID:B4Rc94yd0
如月「……どうして?番頭さんと私たちはまだ知り合ったばかりじゃないですか。それなのに……どうして?」
「僕がそうしたいから……では駄目でしょうか」
そこで如月ちゃんは俯けていた顔を小さく上げた。顔を隠していた髪がどかされ、表情を覗かせる。
髪の中から見えた表情は、疑念と怯えが混ざりあったような暗い表情だった。
じっと如月ちゃんは僕の瞳を見つめてくる。僕はそれから目を逸らさずに見つめ返した。
僕の言葉が嘘ではないと、伝わるように。
少しの間の後、如月ちゃんはポツリ、と言葉を漏らした。
如月「お節介、なんですね」
「……ああと」
言葉が詰まる。……確かにそうだ。いくら弥生ちゃんが苦しんでいると言っても、弥生ちゃんが、彼女たちが改善を望んでいるとは限らない。
今の状況で構わないという子もいる筈なんだ。それこそ弥生ちゃんだってそうかもしれない。
それは何かの為。自分の為であったり、ほかの人の為であったり。
その為に敢えて苦しい立場に身をおく。そんな人もいる筈なのに。
僕は人間のけじめの為に彼女を救いたいと思った。もちろんそれだけではないけれど。
でもそれこそ人間の、僕のエゴじゃないのか。
良かれと思ってやったことが結果としてよくないことになってしまう。そんなこと、ままある筈なのに。
どうして僕はこんな簡単なことに気づかなかった?どうしてまた身勝手な正義感に流されてしまった?
戦争に身を投げた時と何も変わっていないじゃないか。何も……。
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