492:名無しNIPPER[sage]
2016/02/03(水) 00:20:01.60 ID:i01M8kjr0
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双眼鏡と無線を提督から受け取り、鎮守府から南へ海沿いに車を走らせること5分程。
恐らく人間の戦争の際に爆撃で荒れたであろう路を越え、僕は周囲を見渡せるなだらかな丘のふもとに来ていた。
「神社……か」
遠目では解らなかったが、どうやら此処は元は神社だったようだ。
丘を登る為の石段が設けられ、その上に黒く焦げ、爆撃にへし折られたであろう鳥居が倒れている。
車を降り、失礼しますよと心で呟きながら倒れた鳥居を跨ぎ、石段を登っていく。
やがて石段を登りきると、神社の本殿……だったものが見えた。
爆撃をもろに受けた為だろうか。既にそこには本殿は無く、それを形成していた焼け焦げた木材がうず高く盛られ、その上にかろうじて姿を残していた瓦屋根が乗っていた。
当然ながら人は誰もいない。代わりに俺達がここの主だと言わんばかりに大量のウミネコ達がミャアミャアと鳴きながら、敷地を占領していた。
建物が残っていればその中から海を見張れたが……まぁいいか。瓦礫とウミネコが相まってカムフラージュになるだろう。
爆風に散らばった木材を避けながら歩を進め、瓦屋根の乗った瓦礫を登る。
海とは反対側の斜辺に身をうつ伏せに倒し、屋根の棟木にいたウミネコを追い払った後、、そこから顔を出す。
倒した体に屋根にこびり付いたウミネコの糞が付き、更にはその匂いと木材が焦げた匂いが混じりあった悪臭が嗅覚を襲う。
不快ではあったが、仲間の死体に紛れていた時よりはずっとマシだと思い、気を反らす。
衛生的には悪いが、此処は瓦礫の山が身を隠して隠してくれる上、十分に周囲を見渡せる。鎮守府近海を見張るにおいてこれ以上の場所は無いだろう。
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