過去ログ - 冴えない彼女の育てかた『慣れないエンドの創りかた』
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10: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:46:56.76 ID:8dlLDYTwO
詩葉「そうね。定義として確たるものはないんだけれど、やはりある程度の希望が持てる解釈が出来る場合には、はっきりとバッドエンドの名を冠する事は難しいと思うわ」

倫也「……でも俺、それでもこの話書くのに相当気力を浪費したっていうか、魂が削られる感覚を覚えたっていうか……」

詩葉「それは……慣れてないからって理由もあるでしょうね。でもね、倫理君。プロの作家でも、登場人物が凄惨な目に合う話を書いてる時、いつでも冷静でいられてるなんて事はないのよ? 歯を食いしばりながら、震えながら書き上げる時だってあるんだから」
以下略



11: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:47:25.34 ID:8dlLDYTwO
詩葉「……とにかく、作者の性格や作品のジャンルにもよるし、こればっかりは経験を積み重ねて調整していくしかないのかもね」

倫也「う〜ん、そっかぁ」

詩葉「まぁ、一つだけ確実に言える事は……」
以下略



12: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:47:56.65 ID:8dlLDYTwO
英梨々「始めは何事かと思ったけどね。これまでのあんたから考えたら、完全に不意を突かれた気分。でもま、染まっていってるんじゃなくて、幅が広がっていってるっていうんなら、さして文句は……ないとは言わないけど、目をつぶっておくわよ」

詩葉「あら、それって暗に、今までの倫理君のスタンスに対しては好意的だって告白してるようにとれるわね?」

英梨々「そんな事言ってない。ただ、まだシナリオを一本書いただけで、それ以外はいつもギリギリまで何もしない三流の準置物プロデューサーから、少しはシナリオを書けなくもない二流の物書き兼プロデューサーにレベルアップできるっていうんなら、いずれはどこぞの腹黒作家の出番が無くなる可能性もあるって事になるでしょ?」
以下略



13: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:48:27.67 ID:8dlLDYTwO
詩葉「……ふふ……全く、いつになったら私を出し抜いてくれるのかしらね、周回遅れの負け犬お嬢様は……ふふふ……」

英梨々「ぐっ………ぬぐ……! か、かか、霞ヶ丘詩葉っ……!」

倫也「………ところで加藤、お前はどう感じた? 俺のシナリオ読んで」
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14: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:48:55.76 ID:8dlLDYTwO
加藤「そもそも、わたし自身、バッドエンドやビターエンドがなんたるかってのを想像できるくらいの経験値がないんだけどね」

倫也「そういやお前、生まれて初めて読んだライトノベルが恋するメトロノームなんだっけか。まぁ、あの話の結末には色んな解釈があって、確固としたエンドの定義がある訳じゃないんだが、それでも初心者が読むにしては切なさと喪失感のレベルはかなりのもんだぞ?」

加藤「その初心者にいきなり全巻勧めてきたのは安芸くんだよね?」
以下略



15: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:49:23.11 ID:8dlLDYTwO
倫也「ああ。なんていうか、考えさせられるんだよな。一度読んだ時には見えていなかったものが、何度も読み返すうちに少しずつ見えてきたり、その発見から、今までとは違う視点や感想が持てるようになったり」

加藤「そうだね。多分、その辺りは先輩の技術あってこそ、魅力的に成り立つものかもしれないけど。……そうやって、何度も頭の中で反復して繰り返し考えるうちに、ス…っと胸の奥に入り込むように、少しずつ色んな事に納得できるようになって。こんなに切ない話のはずなのに、前向きになれるっていうか、前向きに泣けるっていうか」

倫也「そういう、シナリオを何度も振り返って読み込ませる力ってのは、今の俺にはほとんどないだろうな」
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16: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:49:54.32 ID:8dlLDYTwO
加藤「それまでのキャラクターや物語の軌跡を何度も辿って、何度も読み返しながら、その世界に深く没頭していくって感じじゃなくて……」

倫也「…………」

加藤「こう、あるきっかけから、熱くて、明るくて、楽しくて、優柔不断で、鈍感クズで、ヘタレてて、節操のないご都合主義な展開が入り込んできて……」
以下略



17: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:50:22.04 ID:8dlLDYTwO
加藤「あはは。まぁわたしはさ、安芸くんに始めて出会った時から今まで、散々右に左に巻き込まれて、引っ張られて、動かされて……でも、なんだかんだでここに居て。だから、そんな風に感じるのかもしれないね」

倫也「メインヒロイン冥利に尽きるってことだな、うん」

加藤「それってニュアンス的にはなんとなく良い感じに聞こえるけど、実情としてはちょっと頷きづらいなぁ」
以下略



18: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:50:54.43 ID:8dlLDYTwO
英梨々「第一、まだまだ経験の浅いコイツに、ハッピーカラー以外の展開で、ユーザーを惹きつけるシナリオが書けるかどうかなんてまだまだ確証がないって段階で、そんな信頼交じりの事言ってたらすぐに調子に乗るわよ?」

詩葉「その辺りに関しては、私が付きっ切りで指導してあげるし、もしバッドエンド症候群にでもなってしまったら一生をかけて責任とるから大丈夫よ」

英梨々「事あるごとに自分の人生設計に他人を引きずり込もうとするな!」
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19: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:51:35.17 ID:8dlLDYTwO
加藤「あ、このシナリオがまだ練習みたいなものだってのは知ってるよ? でも、この先、完成したシナリオに登場するのが巡璃じゃなかったとしても、わたしをモデルにしたメインヒロインが登場するんだったら…って前提でね?」

倫也「ああ、分かってる」

加藤「前作の時点では、まだ少しふわっと思うくらいだったんだけど……。巡璃がさ、始めて誠司と出会って、色々あって、それから一緒に歩いていくって決めた先で……誰かと離れてしまったり、傷つけあったり、何かが届かなかったり、失ったり……。そうやって、どれだけ悲しい事があっても、どれだけ辛い事があっても………」
以下略



20: ◆07a3z.KLl.[sage]
2015/06/05(金) 14:52:05.77 ID:8dlLDYTwO
詩葉「……その気持ち、良く分かるわ、加藤さん」

倫也「いや、何で俺の首絞めながら言うの先輩? せっかく加藤が良いこと言ったって感動して……うぐぅ……」

英梨々「大体、あれだけ誠司の側に居て、支えて、見つめてきた巡璃が、最後の最後で報われないなんて、あんたいつからドS属性に目覚めたのよ。あれじゃ、巡璃や歌穂よりも長い間、誠司の事を想い続けてきたきらりなんて、いつ交通事故からのごにょごにょな展開に入り込むか分かったもんじゃないわ」
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