14:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:14:22.82 ID:E5S6rm4f0
 おや、何だ?  
  
 その時おれはなんともいえない違和感を覚えた。 
  
 何かがおかしい。 
15:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:15:50.17 ID:E5S6rm4f0
 コトンと靴が、足から離れて地面に落ち、おれは事態を理解した。 
  
 地軸がゆがんだのではなく、おれの片足がなくなっているのだった。 
  
 時がたつにつれて、おれの足がどんどんなくなっていった。 
16:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:17:26.24 ID:E5S6rm4f0
 もうこれ以上、一歩も歩けない。 
  
 途方にくれて立ちつくすと、同じく途方にくれたもう片方の足、腰、腹……。 
  
 また、腕、肩、胸が次々と細かくなって画面に吸い込まれていった。 
17:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:19:01.08 ID:E5S6rm4f0
 後に一枚のSRが生まれた。  
18:名無しNIPPER[sage]
2015/06/07(日) 18:19:15.41 ID:aF6PRV4nO
 安部公房の中でも好きな話だ 
19:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:20:15.36 ID:E5S6rm4f0
 ああ、これでやっと愛でられるのだ。 
  
 これだけは確実に他の誰でもない、おれのものだ。 
  
 だが、嫁のSRが生まれても、今度は愛でるおれがいない。  
20:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:23:39.38 ID:E5S6rm4f0
 画面の中で時がとだえた。 
  
 外界は移り変わってゆくが、画面の中はいつまでも変わらず、同じ景色がつづいている。 
  
 どのくらいたっただろうか、彼はSRとなったおれを、月末ガチャで引きあてた。 
21:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:26:01.96 ID:E5S6rm4f0
  
  
  
  
  
22:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 18:27:50.67 ID:E5S6rm4f0
 終わりです。  
 元ネタは安部公房の「赤い繭」です。 
  
23:名無しNIPPER[sage]
2015/06/07(日) 18:55:04.37 ID:cMpyzkAFo
 不気味な作品ですよね、乙 
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