1:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 23:32:54.50 ID:hGQZbWAIO
ある日の朝。
目覚めたわたしが1階に降りると、ママはキッチンで朝食の支度を、パパは隣のダイニングでコーヒーを啜っていた。
いつもと同じ、なんの変わりもない景色。
わたしの足音に気付いたパパがこちらに目をやり、「おはよう」と微笑んだ。わたしはあくびを噛み殺しながら「おはよ」と答えて、顔を洗いに洗面所に向かう。
ママは包丁でなにかを刻んでいて顔を上げなかったけど、きっと料理に集中しているんだろう。
挨拶は後回しでいいや。
今日もまた、いつものような平和な日常が訪れる。
このときはまだ、そう思っていた。
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 23:33:27.52 ID:hGQZbWAIO
洗面台に相対し、青色の蛇口を少しひねると、透き通った水がさらさらと流れ出してきた。
夏間近とはいえ、朝一番の水はそこそこ冷たいもので、わたしは顔を洗う前に必ず指でぴちゃぴちゃと流水を弾いて温度を確かめる。
ああ、やっぱり。
でも、このくらい冷えてなきゃ目も覚めないだろうな。
3:名無しNIPPER[saga]
2015/06/07(日) 23:33:58.64 ID:hGQZbWAIO
「おはよう」
ママは鏡越しににっこりと笑うと、毎日お手入れを欠かさないという自慢の細い手をわたしの肩にかけた。
もう30歳過ぎだというのに、見た目はまだ20代半ばでも通用する若々しさで、わたしと一緒に歩いていると姉妹に間違えられたりもする、わたしにとっても自慢のママ。
でも、今朝はなんとなく雰囲気が変だ。うまく言えないけど……
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