17:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:25:27.70 ID:kmZ4QHJb0
◆その4 万里花
「ケホッ……ケホッ……」
薄暗い寝室で一人、わたくし橘万里花は咳をしておりました。
今頃、楽様は初詣に行っていらっしゃる頃でしょうか。桐崎さんや小野寺さんも一緒でしょうし、心配ですわ……。
去年のお正月は楽様の家に押し掛けて大騒ぎをした挙げ句にあんなことになりましたし……嫌な予感しかしません。
「ケホケホッ……!」
やっぱり南の島にまで出かけていって、その上遭難までして、楽様と二人っきりになれたのはよかったけれど、
やっぱり無理をしすぎたのでしょうか。
本田にもたっぷり叱られましたし、こうして楽様と初詣にも行けず、一人ずっとベッドで寝ているというのは……寂しいですわね。
昔はずっと病弱だったから、一人で過ごすのも慣れっこだったのに……。
楽様と出会ってから、そしてこの街にやってきてから、すっかりあの賑やかなメンバーの中で過ごすことに
慣れっこになっていたことに自分でも少し驚きです。まぁ、わたくしは楽様さえいれば他はどうでもよいのですけれども。
「はぁ……」
そんな風に強がってはみても、今の私が独りぼっちであることには変わりはありません。
こんな病気さえなければもっと楽様と一緒にいられるのに。
こんな病気さえなければ、ずっと、楽様と一緒にいられるのに。
思わず涙ぐみそうになって、ふるふると長い髪ごと頭を振って、暗い考えを振り払います。
夕暮れ時はなんだか沈んだ気持ちになりがちですね。
おかしなことばかり考えてしまう前に、寝てしまった方がよさそうです。
ばふっと頭まで布団を被ろうとしたその時、コンコンと窓から物音が。
気のせいかと思いながら(何しろここはマンションの高層階)カーテンを引くと……。
「ら、楽様……!?」
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