過去ログ - 【ミリオンライブ】馬場このみ「水中キャンディ」
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4:名無しNIPPER
2015/06/13(土) 09:26:29.22 ID:92vH1rCLO
 「失礼します。馬場このみ、入ります」
 「1234!123……あ、姉さん。おはよう」

 翌日、シアターで私を出迎えたのは朝も早い時間からダンスのレッスンをする莉緒ちゃんだった。

 「……早いのね」
 「次のライブまで時間がないからね。姉さんも、頑張って仕事に慣れてね」
 「もちろん」

 そのままステップを踏み続ける莉緒ちゃん。なんというか、レッスンをする莉緒ちゃんは昨日とは全然違っていた。
 莉緒ちゃんって、こんなにストイックな子だったんだ。

 「もしもし、765プロライブシアターです。あ、社長。莉緒ちゃんですか? はい、かわります。莉緒ちゃーん、電話よ。社長から」
 「はい、はい……わかりました! すぐ行きます!」

 楽しそうな莉緒ちゃんの声。何かいいことがあったみたい。

 「姉さん。私、今度のライブで自分の持ち歌を披露することになったわ。私初めてよ、初めて、自分だけの歌が持てたの」

 その日の夜、嬉しそうに話す莉緒ちゃんと一緒に、私は帰路についていた。なんと、莉緒ちゃんと私は一駅しか離れていないらしい。

 「……莉緒ちゃんは、本当にアイドルが好きなのね」

 アイドルをやっている自分が、と言えばいいのか。普段は明るく気さくな莉緒ちゃんだけど、レッスンの時は本当に真剣だ。
 ……何故、ここまで彼女は夢を強く持てるんだろう。

 「……私ね。アイドルって理想の形の一つだと思うの。私がそんな風になれるかはわからないわ。けど、そうなりたいなって思う。今はシアターでライブをする一人でしかない私だけど……いつか、武道館をお客さんでいっぱいにするの……ちょっと姉さん、急に黙らないでよ」

 ……あなたがそんな風に真剣に語るから、思わず聞き惚れてしまったのよ。

 「……大丈夫。莉緒ちゃんならできるわ。私が支えてあげるから、安心なさい」
 「! ……うん。このみ姉さんが一緒なら百人力ね」

 瞬間、莉緒ちゃんと二人でステージに立つ自分の姿を幻視して。
 そのありえない姿に、少しだけ心がチクリと痛んだ。


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