115:名無しNIPPER[saga]
2015/06/19(金) 23:40:10.23 ID:978zBMZDO
「あ、あの……!」
しかし、関係を拒絶した背中にナナリーの声が掛かる。足を止めるしかなかった。その声が、見知らぬ相手のために勇気を振り絞ったものだと分かったからだ。
「……なんだい?」
「よ、良ければ、あの、兄が来るまで話し相手になってくれると……その」
断れ。申し訳ないが、他に用がある、と言え。時間を置くな。今すぐに──
「……僕でよければ」
頭では、もう一人の自分がやめろと叫んでいた。この善良な少女を傷つけるに決まっている。そうなれば、ルルーシュはライを許さないだろう。そして必ず、それ以上に自分を許せなくなる。
分かっていた。そんな事は誰よりも。
しかし、口から出たのは正反対の言葉だ。今さら、安堵しているナナリーに向かって「やっぱり止めた」などと言えるはずが無い。
そんな考えとは裏腹に、ライはナナリーに促されるまま席に座っていた。すかさず咲世子が自前のティーセットでお茶をいれる。
もう逃げられない。ライは観念した。対面に座っている少女の幸せそうな顔を見たら、そう思うしかなかった。
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