137:名無しNIPPER[saga]
2015/06/22(月) 07:20:22.09 ID:77iltqVDO
緑の髪の少女を探し、再び租界の街を歩く。今のところ、彼女だけが記憶への手掛かりだ。午前中いっぱいを捜索に費やしたライは、休憩を兼ねてベンチに座り、張り込みをしていた。
闇雲に探すだけでは効果は薄い。あの少女が何のために街を歩いていたのか、そういった点から埋めていく必要もあった。
(馬鹿か、僕は……)
あの少女が記憶に関係している確証は無いのだ。むしろ、彼女が普通の一般人で、ただ買い物をしていただけという可能性の方が、遥かに高いだろう。
こんな所で同年代の少女を求めて張り込んで、まるで不審者ではないか。見苦しい。ライは右手で自らの額を押さえた。
あの少女と出会った時の感覚は既に体から消えようとしている。今では、あの時の確信が見る影もなく薄いものになっていた。
この行為に、意味はあるのか。
そう真剣に考えていた時だ。抱えていた頭の上から、
「あ、ライじゃない!」
元気に満ちた声が降ってきた。顔を上げると大きな瞳がライを覗き込んでいる。結構、距離が近い。生徒会メンバーの一人、シャーリー・フェネットだった。
「……シャーリーか。今日はどうした」
尋ねると、どうしてか彼女は唇を尖らせた。
「それはこっちの台詞。頭なんか抱えちゃって、どうしたの?」
「いや……。この辺りは人が多いから、少し疲れてしまって」
「そっか……そうだよね。知らない人ばっかりだもんね」
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