185:名無しNIPPER[saga]
2015/06/25(木) 23:45:48.85 ID:bQXV5DuDO
「ああ、この店か。良かったな、知っているぞ」
美しい少女だった。スラリとした、スレンダーな体型。珍しい緑の髪を隠すように被った帽子。
探していた少女だった。
その彼女が今、目の前にいる。状況を理解するまで、しばらくの間、ライの思考は完全にフリーズしていた。
「き、君は……」
「ん……」
少女もこちらの顔を見て、何か思うところがあったようだ。その切れ長の瞳が、僅かに揺れた。
「……ああ、なるほど」
口元に笑みが浮かんだ。恐ろしくなるほど、酷薄な表情。心臓が締め付けられるように痛い。左目もだ。痛みは視神経を通じて、脳に達していた。
「お前も、"力"を持つ者だったな」
少女の言葉が刃となり、そのまま突き刺さってくる。
痛い。熱い。
頭の中にバーナーを突っ込まれているようだった。悲鳴すら出ず、左目を抑えたまま、ベンチに倒れ込む。
少女がこちらにしゃがみ込むのを、右目が僅かに捉えた。やられる。とどめを刺される。そう思った。体は動かない。自分の物では無いようだった。前と同じだ。
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