223:名無しNIPPER[saga]
2015/06/29(月) 17:19:51.75 ID:4iXaYZSDO
「日本の風景は嫌いじゃないようだ」
「記憶が戻った……っていうわけじゃないみたいだね」
「ああ。ただ、桜や富士山は美しいと思った」
「そうか……うん。そう言ってくれると、僕も嬉しい」
「…………」
微笑んだスザクを見て、ライも読書に戻った。また静かな時間が戻ってくる。
そうして、三冊目の本を読み終わった頃。スザクの方も終わったらしく、資料を片付けに掛かり始める。予想以上に早い。後半は恐ろしい集中力だった。
「帰るか」
「うん。こっちは何とか終わったよ」
「片付け、手伝うよ」
返答を待たずに資料を回収し、元あった場所に向かう。本同士の隙間に借りていた物を差し込んでいく。手早く戻して、図書室の入り口に戻ってきた。今度はライの勝ちだった。
「あ、お待たせ」
「いや……」
二人並んで廊下を歩く。既に夕方だ。窓からは赤い光が差し込んできていた。外からは運動部が練習する声、吹奏楽部の奏でる音楽が聞こえてくる。
平和な放課後だった。
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