268:名無しNIPPER[saga]
2015/07/02(木) 12:42:30.43 ID:9ivMzcXDO
それから少しの間、ライとスザクは租界の喧騒を眺めながら黙々と食事に耽った。年頃の少年二人だ。これくらいの量ならすぐに食べきってしまう。
「ご馳走さま」
「うん、お粗末様でした」
一緒に入っていた紙で口元を拭いてから、袋に空になった容器を入れる。スザクの分も受け取った。
「あそこにゴミ箱があるから捨ててくる」
「あ……いや、僕も行くよ」
立ち上がろうとするスザクを制するように、ライは紙を渡した。
「君は口を拭け。これくらいは僕がやる」
「え、口? うわ……もっと早く言ってくれても」
今更ながら気づいたのか、慌てるスザクを置いてライはゴミ箱に向かった。ほんの五〇メートルほどの距離だ。歩行者を避けながらでも、数分で往復できた。
ベンチに戻ってくると、神妙な表情でモニターを見ているスザクの姿があった。未だに昨日の報道をしている。そういえば食事中も、ずっと意識はあちらに向かっているように思えた。
「君は……」
モニターの方へ視線を向けながら、スザクが言った。薄暗い中、その黒い瞳は画面に映る黒衣の魔人──ゼロを射抜いている。
「君は、どう思う?」
「…………」
その視線をなぞるように、ライもまた大型モニターを見た。
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