282:名無しNIPPER[saga]
2015/07/03(金) 02:05:18.01 ID:XSwai4zDO
「ブリタニアは日本を力でねじ伏せ、エリア11と名付け、自治も許さず、戦禍復興の機会すら与えなかった」
カレンの体に力がこもる。暗く激しい感情。憎悪だ。途方も無いほどの。
「…………」
「そして自分達の住む場所だけを、支配者の城として築き上げたわ。それがこの租界よ!」
キッとゲットーを睨む。彼女の瞳は燃えていた。握られた拳はほとばしる感情で震えている。
「太陽パネルの潤沢なエネルギー、清潔な上下水、世界中から海を越えて集まる物質。すべてはブリタニア人のため……日本を統治するブリタニアのためだけに、すべて費やされるのよ!」
堰を切ったかのように溢れる言葉は止まらない。怒りと憎しみを前面に押し出す表情は、普段のカレンからは想像も出来ないものだった。おかしな話だ。カレン・シュタットフェルトは紛れもないブリタニア人のはずなのに。
しかし、どうしてだろう。ライはカレンの言葉を聞きながら、不思議に思っていた。
「すべてはサクラダイトのためよ。富士山……は知っているわよね。あの山が、今はどんな姿なのかも」
フジサン。昔は日本を代表する山だったらしい。頂上付近を雪で彩られた、威厳に満ちた姿。本で見た。
今は採掘場として、その半身を機械に覆われている。無惨なものだ。
「世界屈指のサクラダイト鉱脈。そのための侵攻。そのための占領。そのための支配。そのほかのことはどうでもいいのよ。イレヴンが死のうが生きようが、ね」
イレヴン。カレンは嫌いな筈の言葉をあえて使った。
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