376:名無しNIPPER[saga]
2015/07/29(水) 19:13:30.14 ID:RvzOFB6DO
焼き鮭に箸を差し込む。パリッという軽快な音と共に脂が溢れてきた。口に運ぶと、魚特有の甘味が広がる。絶妙な焼き加減と塩加減。おいしい。完璧だった。
そうして、炊きたてのコシヒカリをかき込む。新潟県の雪国で育てられた艶のある白い粒。芳醇な香り。おいしい。最高だった。
時間は限られている。少しでも多く、この食事を腹に詰め込まなくてはならない。そんな使命感があった。
茶碗を差し出す。おかわりの合図だ。母はそれを受け取って、ため息を吐いた。
(遅刻するわよ、もう)
良いの。
(いや、良くないだろ)
隣の兄も呆れ顔だった。こちらは優雅な仕草で食事を続けている。カッコつけてるつもりなのだろうか。
(じゃあ、俺もおかわり)
(……遅刻するわよ、二人共)
(良いよ。推薦決まったし、特待生だし)
(良くないでしょ。まったく、もう……)
そう良いながらも、母は二人分のご飯をよそってくれた。
しかし時間とは無情なもので、タイムリミットは否応なしに迫っていた。二杯目は急いでかき込んで、味噌汁で流し込む。
(もう少し女の子らしくしたらどうだ?)
良いの。
(いや、良くないだろ……。学校でもそんなことしてるのか)
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