434:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 21:46:16.32 ID:dDnsREuDO
「く……っ!」
助けてと伸ばされた小さな手。その先には潰された小さな体。助けられなかった。巻き込んでしまった。そういえば、あの時もここと同じ、シンジュクゲットーだった。
カレンの脳裏によぎるのは、無力だった時の記憶。
歯を噛み締める。だった、ではない。今も無力だ。あの時と何も変わっていない。
何もかも同じだ。"あの人"と出会ったあの時と。
「あんなの、<黒の騎士団>じゃない! <黒の騎士団>は弱い者の味方だ!」
気がつけば叫んでいた。同行者の存在など脳内から消し飛んでいた。
「ブリタニア人でも日本人でも、無差別に巻き込んだりはしない! 絶対にしないっ!」
肩を震わせながら、地面に言葉を叩きつける。
「そうなのか」
背中越しに聞こえるのはいつもと変わらぬ彼の声。
「そうよ! 大方、<黒の騎士団>の活躍と名声に便乗したはぐれ者の小組織でしょうね」
「ふむ……」
「自分達じゃろくな成果も挙げられなかったような連中よ。単なるテロリストだわ!」
「なるほど」
あ。
カレンは振り向いた。後ろでは、顎に手を当てて戦場を眺める無表情の少年の姿。
その蒼い瞳がこちらを見る。
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