53:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 02:33:47.46 ID:jrxZ+tTDO
まずい。今日の午前中を欠席した理由が、昨日の租界散策にあると考えているらしい。
「ちょっと用事があっただけ。体調を崩してなんかいないから」
「だが……」
尚も食い下がるライの態度に、カレンは苛立った。いや、明確に言えば彼に対してというより、自身が演じている面倒なキャラクターへの苛立ちだ。
「あのね、私だって子供じゃないの。本当に体調が悪ければ自分で何とか出来ます」
「…………」
「それに、今のあなたは私より自分の事を心配するべきでしょう?」
「……そうだな」
諭すように言うと、ライは頷いた。彼の自己評価が低いという事は昨日の時点で分かっていたので、最もらしい事を言えば納得してくれる。
真剣にカレンの身を案じてくれる彼を謀るのは申し訳なかったが、本当の事を言えない以上、仕方のない事だ。
「でも、心配してくれてありがとう。もしもの時になったら、頼りにさせてもらうから」
「わかった」
「じゃあ、行きましょうか」
悪いと思いながら、カレンはライを伴って歩き出した。昨日の内に決めていた今日の目的地は繁華街だった。
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