531: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:02:48.49 ID:zMZDMcHDO
「用事……。見合いか」
ライは呟いた。アッシュフォード家は財政難が続いており、没落が危ぶまれているような状態だった。そのため、一人娘のミレイには多大な責任と期待がかけられているのである。
今回も休日を利用して、本人はまったく望んでいないであろう見合いの席が設けられたようだ。
この学園では強権を振るえるミレイだが、権力と金と欲が渦巻く大人の社会の前では何の力も無い一人の小娘でしかないのだ。だから、若くて美しい自分の体と将来を捧げなくては、その土俵に上がらせてもらえない。
「…………」
そしてミレイが苦しんでいる間、ライは何をしていたのかというと、ゲットーに行ってテロに巻き込まれていた。挙げ句、彼女の不利益にしかならない事情を引っさげて、ここで帰りを待っている。
恥知らずとはこの事だろう。ライの中で罪悪感と焦燥感が激しく燃え上がる。早くなんとかしなくてはならない。
知らず知らずの内に、拳が強く握られていた。
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。