550: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/07(月) 22:57:20.33 ID:8dKBAj+DO
だから、本心を話す。もとより嘘をいうつもりも誤魔化す気も無い。
「信じてくれた人がいます」
ライはちらりと、スザクの方を見やった。背中を押してくれた少年は心配そうな面持ちを崩さない。事の行く末を憂いているのだろう。
脳裏に浮かぶのは夜の屋上と、瞬く星々。両の肩には二つの感触が蘇る。
記憶の中身は望んだものではないのだろう。近い将来、苦しむ事は分かっている。それでも、この決心に揺らぎは無い。
「分かることがあるのなら、知らなくてはならない。悩むのも恐れるのも、その後でいいと……そう考えています」
「…………」
「だから、僕をアレに乗せてください」
そう言うと、ロイドは硬質だった表情から一転して、先ほどまでの少年じみた道化の仮面を被り直す。これが彼なりの処世術なのだろうと、ライは思った。
「じゃあ、ついて来て」
ライは頷き、ロイドの後に続く。シミュレーターに近づくと、そのハッチが開いた。内部から操縦席がせり出してくる。
「始めるよ」
背後から響く声は、どこまでも愉しそうだった。
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