570: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:11:21.21 ID:abxhPIPDO
セシルとライは話しながら医務室に向かう。採血などの身体検査を行うためだ。
暗い室内に照明が灯り、椅子を進められたライが着席する。女性士官は張り切っていたが、注射器などがどこにあるか分からないらしく、にわかに慌て始めた。被験者はそれを静かに見ている。
なんだかその光景がおかしくて、スザクの口元には笑みが浮かんでいた。
◇
「ご、ごめんなさい……」
「いえ……」
ライの腕から注射器の針が抜かれる。狙いを外したせいで、採血が上手くいかない。機材の捜索に手間取って、それから準備にも時間をかけたために、検査が始まったのは医務室に到着した三〇分後だった。
そしてさらに一〇分経過し、いまだ血液検査は終わっていない。三回の失敗を経て、ライの腕には三つの注射痕が生まれている。セシル・クルーミー中尉は涙目で謝りながら、四度目の挑戦に入ろうとしていた。
震える針を命中させようと懸命な上司と、それを宥める友人。両者共に痛々しい。
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