581: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:38:49.35 ID:abxhPIPDO
「君は恩人だ。応援するよ」
彼はやめろとも頑張れとも言わなかった。そんな言葉でさえ、自分には言う資格が無いと思っているのだ。
だからこそ、今の言葉には不思議な重みがあった。体の奥底から力が湧いてくる感覚。誰かから応援してもらえるという、ただそれだけの事で、こんなにも目の前が明るくなる。
「ありがとう」
視界が開けた事で、ようやく気づいたものもあった。スザクがライを軍に引き込みたくなかった理由だ。
死んでしまうかもしれないという心配があった。ようやく平穏を手に入れた彼から、それを奪いたくないという気持ちがあった。彼が記憶に近づく事で今の関係が壊れてしまうかもしれないという恐れがあった。
だが、それらより大きな理由があった。
七年ぶりに再会したスザクの何より大切な、たった二人の幼なじみ。いつ死ぬとも分からぬ自分の代わりに、ライにあの兄妹の傍にいて欲しかったのだ。
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