595: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/20(日) 00:29:39.30 ID:a5KsSFBDO
ひどく喉が渇いていた。頭も痛い。動悸もいつになく激しい。鳥肌が治まらない。神経が過敏になっているせいか、どうしようもなく暴れ出したくなる。
水を飲もう。そうすれば落ち着くはずだ。
そう考え、立ち上がった瞬間だった。その声が聞こえたのは。
(──お前だったのか)
頭の中に直接響く、聞き覚えのある声。誰だっただろうか。ショッピングモールを一緒に歩いた……
(躍動を感じるぞ。静かな夜には似つかわしく無いな。良く育っている)
だが、思い起こすことすら許してくれない。妖艶さすら漂わせる声の主が面白そうに言葉を連ねる度に思考が氾濫し、左目の奥が激痛に襲われた。
(苦しいだろう。もう押さえ込んではいられないようだ)
「君は……あの時の……っ」
(ほう、話せるか。だが止めておけ。また壊れるぞ)
「くそ……!」
お前のせいだろうと言ってやりたかったが、全身を蝕む苦痛の波が、そんな考えさえ押し流していく。
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