69:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 22:37:01.70 ID:jrxZ+tTDO
生徒会室を出て、教室へ向かう。移動するのに必要な時間は計っていたので、間に合う筈だ。良く磨かれた廊下を歩き、高等部二年生の教室へ入る。自分の席に座って鞄を置いた。
ルルーシュとスザク、そしてカレンの姿は無い。出席率が低い定番のメンバーだったので、ライは驚かなかった。せいぜい、スザクのためにノートを取っておこうと思った程度だった。
朝のホームルームが終わり、一限目まで十分間の休憩が挟まれる。生徒達の大半は友人との世間話や、出されていた課題の確認、来るべき試験への不安に嘆いたりと忙しそうだった。
今日はカレンがいないため、彼女の親衛隊連中からの監視も……無いわけではなかったが、いつもと比べれば緩かった。
「…………」
平和な風景をぼんやり眺めていると、どうしても自分に対する違和感が膨れ上がってくる。記憶も無く、ミレイに言われたように無表情で無感動、無愛想なライの存在は、はっきり言って浮いている。
毎日のように、ここにいてはいけないという危機感に襲われる。今もそうだ。直接的な手段があるわけでもなかったが、この平和な風景を壊す自分を想像してしまう。
席を立ち、教室を出たくなる。駄目だ。ノートを取らなくてはならないし、用事も無いのにミレイの善意を裏切るわけにはいかない。
──より多くの人と関われば、記憶の手掛かりだって掴めるかもしれないでしょう?
ミレイの言葉が蘇る。聞いた時はなるほどと納得したが、今となっては実行は不可能とすら思えた。
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