708: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:02:53.19 ID:+/5T+82DO
「じゃあ、私が持ってくるから。あなたはおとなしく待っててね」
静かだが、有無を言わせぬ口調。ライには頷くことしか許されていなかった。すごすごと着席し、なんとなく窓の外を眺める。まるで主人の帰りを待つペットのような気分だ。
なんだろうか。とても情けない。
一番混み合う昼休みの開始直後を避けたというのに、周囲の人間は一向に少なくならない。しかも、これだけの数が集まっているにもかかわらず、やけに静かだ。皆が皆、息を殺しているようで、ひどく居心地が悪い。
普段なら食堂はもっと賑やかだ。果てしなく騒がしい。どうせするなら静かな場所で食事を楽しみたいライとしては、理想的な環境とは言えない場所なのだ。いつもの食堂は。
だが、今日はいつにも増して状況が悪い。最悪と言ってもいい。当然、食欲など湧くはずもなく───
キリキリと痛み始めた腹をさすっていると、肩を指で叩かれた。シャーリーが怪訝そうな顔で立っている。
「どしたの?」
「……なにがだ」
彼女が疑問がなんなのか、ライには分かっていたが、あえて分からぬ振りをした。
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