77:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 08:03:50.28 ID:0bD55o1DO
アーチボルト・クレメンス少尉はあらゆる点で余念の無い男だった。勉学や騎士道学、馬術や剣術、恋愛を含めた対人関係にこれまで全力を注いできた。
おかげで、名門貴族の出身ではないものの高等学校まで成績は首位をキープし、軍学校でも常に上位。そうしてブリタニア軍に准尉として配属された後も結果を出し、一年経たずに少尉へ昇進することが出来た。
同期は皆、信頼出来る連中だったし、上官にも恵まれた。付き合って半年になる恋人もおり、全てが順風満帆だった。
このエリア11に配属されるまでは。
穴だらけのビルに破砕された道路。汚れた水に濁った空。繁栄していた都会を強大な力で押しつぶすとこうなるのだろう。一時は技術大国と呼ばれ、潤沢な鉱山資源に恵まれていた土地が、今は見るも無残な姿だった。
戦場は初めてではなかったが、ここは酷いものだ。七年前まで日本と呼ばれていたエリア11のゲットーと呼ばれる廃墟には、イレヴンという七年前まで日本人と呼ばれていた人間が住み着いている。
イレヴン達の多くは敗戦して尚、母国を侵略したブリタニアに対して反抗している。おかげ軍の人間は年中大忙しだ。今日も貴重な休日を潰されている。
(許さん……)
クレメンスは激怒していた。苦労して本国から取り寄せたアニメ作品を拝見しながら、アーチボルト家特製のティーをゆっくり楽しもうと思っていたのに。
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