824: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/05(木) 11:15:24.99 ID:+RjyVImDO
「水泳部良いじゃん。楽しいよ。それにほら……み、水着姿の女の子もいっぱいいるよ?」
羞恥心をこらえながらシャーリーが言ってくる。顔が赤いのは夕日のせいだけではないのだろう。
「水着を持っていない。なにより、僕は仮入学生という身分だ。普通の生徒と同列に扱われるべきではないと思う」
彼女が責任感や好奇心から誘っているわけではないというのは分かる。だからこそ、こちらも誠意をもって口にした。
シャーリーはライをじっと見ていたが、しばらくして目を離し、不機嫌そうな口調で言った。
「むぅ。やっぱり頑固じゃない」
「……すまない」
彼女の善意はありがたいが、それでも線引きは大事だ。そこを曖昧にしてしまえば、自分はずるずると周囲の人間に甘え、堕落してしまうに決まっている。
他人から見ればちっぽけな自制心だろうが、ライにとっては大切なものだった。
「でも、気が変わったらいつでも言ってね。見学だけでもいいし。待ってるから」
そう言って、シャーリーは笑ってくれた。
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