908: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/21(土) 09:41:25.69 ID:xN9on8TDO
大型のナイフや剣に特殊な分子加工を施すことにより、戦車の装甲すら切り裂ける物は存在する。しかし、それらは安価な代わりに耐久性が低く、ここまでの鋭さは有していない。
チタンやセラミックを組み合わせた複合装甲を持つ近代兵器に、薄い剣身しかもたない武器ではあっという間に切れ味が劣化して折れてしまう。
スタントンファが広く普及しているのは威力やコストもさることながら、打突武器の特性上、極めて壊れ難いからだ。
(なんだ、この剣は……)
外見上は鋼を研ぎ澄ましただけの、普通の剣だ。機体が提示してくるデータにも参考になる物はない。秘匿されているということだろう。ロイドにも明かしたくない情報があるようだ。
新たな敵影。<サザーランド>を囲むように<無頼>が三騎。スタントンファ装備が二騎に、ライフル装備が一騎。接近してきたわけではない。何も無い空間に突如として現れた。
嫌な配置だ。
間髪入れずにライフル装備の機体が発砲してくる。降り注ぐ三〇ミリ弾をすり抜けながら、スラッシュハーケンを射出。一基で敵機の火砲を砕き、もう一基を地面に打ち込んだ。
急速に巻き上げ、加速。ランドスピナーが土煙を引き起こす。増した勢いのまま武器を失った<無頼>に頑丈な肩部装甲をぶち当てた。
転倒した敵機にとどめを刺したかったが、背後からもう二騎が迫っていた。スピンを掛けつつ横合いから飛びこんでくるスタントンファ。青いスパークがモニターを埋め尽くす。
ライは斜面という不安定な足場を利用して<サザーランド>の体勢を低くし、すれ違いざまに右腕を振るった。剣先が地面を浅く斬り、スタントンファが自機の右側頭部を掠めていく。
目論見は上手くいった。右脚部のランドスピナーを切断された<無頼>は突進の勢いを殺せぬまま斜面を転がり落ちていく。そのまま大木に激突し戦闘不能判定。
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