過去ログ - みく「死の港町にて」【モバマス×メタルマックス3】
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33: ◆Freege5emM[saga]
2015/07/05(日) 00:27:29.87 ID:zauiWJCYo

●04-05


「――っ、にゃ、にゃああっ!」



目が覚めると、猫のように丸められたみくの体には、
超音波範囲制圧兵器などなく、遺伝子強化も施されておらず、
寝汗で乱れた寝間着と、生暖かいマグナムガデスしか触れていなかった。

「……あ、やばっ、起きなきゃ、にゃっ」

みくが起こされる時間は、いつもほかのクルマ屋が目覚める前。
下っ端ということで、皆がまだ寝静まっている早朝だった。

なのに今朝は、荒っぽい整備屋の連中の誰も、みくを起こしに来なかった。



顔を洗うのもそこそこに、みくは作業着に着替える。
二段ベッドの下に寝かせていたはずの晶葉は、既に寝具を畳んで姿を消していた。
もう倉庫街の作業場へ出てしまったのか。



(それにしても……親方がいないからって、誰も起こしに来なくなるかにゃ……
 連中、いつもならどうでもいい理由で雑用を押し付けてくるってのに)



息せき切って作業場に走り込んだみくは、そこで思わぬ人物と再会した。

「……あら、子猫ちゃんね」
「なんでアンタがここにいるにゃっ!?」

作業音でやかましい作業場のなかで、最初にみくへ声をかけて人間は、
昨日みくから強盗を働こうとしたサイボーグ――のあだった。



「お、みくか。親方出勤じゃないか!」
「何呑気なこと言ってるにゃ! 晶葉チャンこの強盗と何してるにゃっ」
「強盗?」
「そこの合成樹脂装甲ゴテゴテつけた女にゃっ!」

みくが勢い良くのあを指さしたが、のあはどこ吹く風と言った顔だった。



「晶葉、トランセンドは?」
「ああ、のあ姉さん。言われた改造、このぐらいで済みそうだよ」
「……ふふ、あなた、分かってる人ね」
「いやいや、姉さんこそイカしたコに乗ってるぞ。これはいじる側としても楽しそうだ」

みくは、無言で晶葉の腕を掴み、作業場の隅へ引っ張っていった。





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