過去ログ - 八幡「贈り物には想いを込めて」
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56: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 22:12:12.00 ID:9WL6O8ki0
さあ行こうかと校舎へ脚を向ける。
がさりと、誰かと落ち葉を踏む音が重なったかと思うと、不意に後ろから右肩をぽんぽんと叩かれた。

はて?と何の気なしに首を右方向にめぐらすと、細くしなやかな、女の子特有の人さし指が頬にささった。

「せーんぱい。おはようございます♪」

「……おお」

やーい引っ掛かったーと言わんばかりの楽しそうな調子に、うげぇーとか思ってしまった。
何でこんなとこにいんだよ……。自転車通学始めちゃったの?ヒーメヒメヒメ〜。

「先輩テンション低いですよー?せっかく朝からわたしと会えたんだから、もっとアゲて下さい!」

「いやそうは言ってもだな……。歩きながらにしようぜ。遅刻するぞ」

アゲるって何だろう?サゲるのなら得意だ。主に場の空気を盛り下げる方向で。
一色を伴ってもいいからさっさと下駄箱へ行こうと体を翻すと、ついと腕が引かれた。

そちらを見ると一色がコートの肘の部分を握り、俺の動きを制止させている。
顔をちらと見るとうっすら赤い。え、なんなのこの雰囲気?

いつもとは違う彼女の表情に呆けていると、ゆっくりと一色が口を開いた。

「今日が何の日かはさすがにわかってますよね?」

「……まあ、それくらいは」

あれだけこの日のことについて一色と話した上で、昨日の小町との会話だ。意識しない方が難しい。

一色は鞄をごそごそ探ると、中から青のチェック柄が入った小さなラッピング袋を取りだした。
こちらを真っ直ぐに見つめる瞳にたじろいでしまう。
普段のあっけらかんとした態度とは違い、その瞳には強さと覚悟を感じた。意を決したように彼女の口が開かれる。



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