57: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 22:16:07.08 ID:9WL6O8ki0
「先輩。いつもありがとうございます。生徒会のことも、あとその……個人的な悩みも聞いてもらっちゃって……。
とってもお世話になってます。だからこれは感謝の気持ちです。受け取って、もらえますか?」
顔が赤い。彼女も、そして多分自分も。
上目遣いで自信なさそうに問うてくるその姿は、何故か在りし日の小町を連想させる。
作られた一色の「可愛さ」を知っているからこそ、その恥ずかしがる所作はとても新鮮で、そしてこれこそが彼女の
女の子としての素の顔なのかもしれないと感じた。
ここで受け取らない、という選択肢なんて存在しない。今の目の前の道は一つだ。
受け取らないということは想いから逃げることであり、それではただの臆病者だ。
卑屈で、最低で、陰湿でも構わない。だが臆病者は、もう嫌だ。
一歩こちらから近づき、中途半端に上げられた一色の手から袋を受け取った。
「その、なんだ、……ありがとう?」
「何で疑問形なんですか……?」
はぁーと溜息を吐きつつも、その顔を晴れ晴れとしている。
クスッと微笑むと、瞳を閉じて安堵の表情を浮かべた。
「仕方ないだろ……。こういうの慣れてないんだよ」
「まあ、なんとも先輩らしい理由ですねー」
しかし、まさか本当に貰えるとは思わなかったぜ。
昨日無駄に色々考えてたのが馬鹿らしくなってきてしまう。
そしてこういった経験、小町以外の異性からチョコを貰ったことがないからこそ気になった事がある。
そう、袋の中身だ。
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