69: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:01:14.69 ID:bJtf1eDj0
早く来すぎてしまっただろうか?
確かに平素よりはやや速いペースで来たが、今まで部室が開いていなかったことはなかった。
そのまま体の向きを変え、部室前の扉にとんと背を付けて雪ノ下の到着を待った。
廊下の窓から西日が差しこみ、眩しさから目を細める。
滲んだ赤い夕陽がじりじりと高度を落として、地平線の彼方へ沈み込んでいくのをぼーっと
目で追い続けていると、間も無く由比ヶ浜がやって来た。
「やっはろーヒッキー。なんで外で待ってるの? 中入ろうよ」
「鍵が閉まってんだよ。だから雪ノ下待ちだ」
「え、ゆきのん来てないの? 珍しいね〜。なんかあったのかな?」
そう言うと由比ヶ浜は携帯を取り出し、何かを確認しだした。
恐らく雪ノ下からのメッセージか来ていないかを確認しているのだろう。
あいにく彼女の連絡先は由比ヶ浜しか知らないので、自然手持無沙汰で回答を待つだけになってしまった。
こういうことは今まであまりなかったので意識していなかったが、雪ノ下と俺の通信手段は未だない。
クラスも違うので部室や、廊下ですれ違う時に直接話すだけだ。
なのでこうした事態ではもっぱら由比ヶ浜頼りになってしまう。
連絡先を知っているから友達とか、まったくそういうことではない。
ただ少し歯がゆい、そんな感情を抱いた。
「うーん特にメールとかもないし……どうしよっか?」
「……とりあえず職員室行って鍵だけ借りてくるか。平塚先生に言えば大丈夫だろ」
雪ノ下がこの時間になっても現れず、遅刻する旨や部活中止の連絡もない。
普段の彼女を知る身としては違和感を覚えることばかりだ。
だからといってここで待っていても仕方がない。
俺の提案に由比ヶ浜もうん、と首肯する。
連れ立って職員室までの道を歩き出した。
111Res/114.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。