70: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:05:36.92 ID:bJtf1eDj0
失礼します、と決まりきった挨拶をしつつ職員室の扉を静かに開ける。
目的の人物はすぐに見つかった。
自席で煙草を左手で持ち、煙を燻らせている。
ふーっと吐き出すと、少し疲れ気味な表情を浮かべた。
「すんません先生」
「おっ比企谷に由比ヶ浜か、珍しい。どうかしたかね?」
俺と由比ヶ浜が連れ立ってきたのに気が付くと、体をこちらに向けるようにくるりと椅子を回す。
火をつけてまだいくばくも経っていないであろう、まだ吸う余裕のある煙草を灰皿に押し付けて火を消した。
フィルターに残る薄紅色のリップが妙に艶めかしい。
「ゆきのんってこっち来ませんでした? 鍵が開いてなくって……」
「ああ、そういうことか。雪ノ下は君たちにまだ何も言ってないようだな」
ピクリとその言葉に反応する。やはり何かあったのだろうか。
由比ヶ浜と顔を見合わせるが、彼女も首を横に振って知らないというポーズをとった。
そうなればもう聞くしかない。
「どういうことっすか?」
「うーん、言っていいのか? いやでもなぁ……」
うーんと唸るだけでいまいち正鵠を射ない、そんな態度だ。そんなに言いにくいことなのだろうか。
しばしの黙考の後に、うんと決心をつけたように先生は話し出した。
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