6: ◆Y3oOA6OkFI[saga]
2015/06/16(火) 23:01:24.76 ID:KTA0UnmQO
そんなわけで今日も今日とて一方通行は買い出しを終えて路地裏を歩いていたわけだが。
「ーーはァ」
ため息が漏れる。
「いつもいつも……よくもまァ飽きねェよなァ?」
少年一方通行は振り返る。
彼の前にはナイフ、鉄パイプなど、様々な武器を手にした不良集団ー学園都市ではスキルアウトと呼ばれるがーが5人ほど。
「スクラップの時間だぜェ、ぎゃは」
何事もなかったかのように歩く一方通行の背後には不自然な方向に手足が曲がった先ほどのスキルアウト達が倒れていた。
学園都市第一位とはこういうことなのだ。
彼の超能力はベクトル変換。この世のあらゆるものに存在するベクトルを操る能力である。
普段の彼には反射という絶対防御が存在していて。
彼の体に触れたもののベクトルを反転させ反射する。
先ほどのスキルアウト達に一方通行は指一本たりとも触れていない。
ただ直立していただけなのである。それでもスキルアウト達は倒れていく。彼の反射の力によって自分たちの攻撃を自身がくらいながら。
彼はその力で幼い頃から学園都市第一位に君臨し続ける。何人たりとも寄せ付けないその力は、少年の心を閉ざしてしまった。
普通の友達が欲しかった。みんなと同じ様に遊んでみたかった。
しかし彼の能力がそれを許さない。自分に近づくものは彼すら気づかないうちに傷ついてしまう。
それならいっそ。
誰とも関わらない様にしよう。
そうやって出来たのが一方通行という少年だった。
友人はいない。知り合いといえば自分の能力を研究して金儲けをしようという薄汚い研究者だけ。
自分の本名すらも忘れ去ってしまった。
そんな少年の学生寮に一通の手紙が届いていた。
「ンだ?こりゃァ」
またしようのない実験への誘いか。
そう思っていた一方通行であったがそこに書いてあった内容は彼の予想から外れたものであった。
××県鹿骨市雛見沢村への林間学校を命じる。
学園都市統括理事会
「ふ、なンだ?意味わかンねェ」
「……ご丁寧に外出手続きまでしてあるっつーのか」
結局のところ。
一方通行にはどうでもよかった。
今の生活に未練も無ければ希望もない。それならば人の少ないシケた集落で生活したほうが楽かもしれない。
その程度のことなのだった。
そうして少年は向かう。
運命の地へ。
これは報われない物語。少年と少女たちはこの物語の先に何を見るのか。
科学と魔法が交差する時。
物語は、始まる。
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