200: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:43:21.08 ID:G0PCMmbKo
撤収作業やら何やらを済ませ、夜の帳が下りる時分。
あれからアタシたちは、全員で幹線道路沿いの事故現場に来ている。
通行車両の多さは云わずもがな、道に面してセレクトショップやレストランが並び、人通りも相応。
201: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:44:25.36 ID:G0PCMmbKo
地面には砕け散ったガラスやプラスチックの片し切れない残滓と、うっすら血の跡が残っていて――
これらが消えるまではもうしばらくかかるかも知れない。
「うん、ユーレイとしてのアタシの記憶、まさにここから始まってるね」
202: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:45:33.34 ID:G0PCMmbKo
「加蓮、大丈夫?」
凛が心配そうにアタシを覗き込んだ。
トラウマでPTSDなど発症しはしないかと気を揉んでくれているみたい。
203: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:46:41.93 ID:G0PCMmbKo
あれ? なんだろう……
そんな凛の向こう側から、妙にアタシへの視線を感じる……気がするんだよね。
そこは道沿いの、事故があったすぐ目の前のお店。
204: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:47:46.85 ID:G0PCMmbKo
「あ、はい、そうです。その節はお手数をおかけ致しました」
店の前で事故られたのだ、アタシも被害者とはいえ、この人も多大な迷惑を被ったに違いない。
救急車の手配等をしてくれたはずだし、一種、命の恩人でもある。頭を下げて礼を述べた。
205: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:49:31.35 ID:G0PCMmbKo
「あの刻は大変お世話になりました、彼女らのプロデューサーをしております、Pと申します」
それでもこれ以上直接応対させるのは好ましくないと考えたのだろう、Pさんが名刺を出して話を継いだ。
何回かの会話のキャッチボールのあと、その人は店の中へ戻って、再度外へ出てきた。
206: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:50:13.85 ID:G0PCMmbKo
「あ、これ!」
全員が同じ台詞を驚きとともに吐き出し、同じリアクションで覗き込んだ。
中央にゴールドスターがあしらわれ、かつてアタシの首元を控えめに彩っていたもの。
207: ◆oP/KARENHOJO[saga]
2015/06/27(土) 17:51:17.95 ID:G0PCMmbKo
Pさんが、何度もお礼を云って、大事にネックレスを受け取る。
その人も肩の荷が下りたのか、にこやかに店の中へと戻っていった。
すぐさまPさんは腕時計を確認して、
208: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:53:30.08 ID:G0PCMmbKo
――
病室に、規則正しい機械の音が響いている。
209: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:54:41.47 ID:G0PCMmbKo
今から思えばわずか一週間余りの出来事だったけれど――
加蓮のいない、加蓮としての意識や記憶が存在しない世界が、どれだけ辛いものなのか骨身に沁みた。
「あ、いけそういけそう!」
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