210: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:56:00.43 ID:G0PCMmbKo
「ね、凛、奈緒、小梅ちゃん、Pさん」
加蓮が、ゆっくり、「ありがとう」と眼を閉じた。
その声音はとても暖かかった。
211: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:56:50.30 ID:G0PCMmbKo
加蓮は右手を振りながら、小梅とつないでいた左手を離した。
すぐ、私の目には、見えなくなる。
加蓮の様子を窺っていた小梅が、ややあって手をひらひらと振り、つられて、余った袖も揺れた。
212: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:57:41.93 ID:G0PCMmbKo
担当医の先生を呼んで、診断してもらう。
「昏睡状態から、通常の睡眠の脳波に変わっています」
驚きの表情で、脳波計を凝視し、その紡ぎ出す波形を指でなぞった。
213: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/27(土) 17:59:08.30 ID:G0PCMmbKo
特にプロデューサーは、心労も相当なものだったんだと思う。
いつもは控えめにしか笑わないこの人が、今回ばかりは頬を目一杯緩ませている。
「よし、それじゃ起きるまで、そっとしておいてあげよう」
214:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:01:09.14 ID:G0PCMmbKo
・・・・・・・・・・・・
215:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:01:45.73 ID:G0PCMmbKo
……なんだろう、妙なカンジ。
しばらく考え込んでいると、控えめな音を立ててドアが開いた。
216:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:02:37.06 ID:G0PCMmbKo
――そう。
病院にいる理由だけならまだしも。
“何もかもがわからない”のに。
217:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:03:23.60 ID:G0PCMmbKo
思考がうまく回らないまま、どれくらい経っただろうか。
静寂は唐突に破られた。
218:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:04:21.73 ID:G0PCMmbKo
――みんな、誰?
219:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:05:11.74 ID:G0PCMmbKo
こんな人たち、知らない。
なのにいきなり上がり込んで、さもアタシを知っているかのような素振りをみせている。
薄ら寒い。
220:名無しNIPPER[saga]
2015/06/27(土) 18:06:02.38 ID:G0PCMmbKo
言葉を交わした記憶なんてないし、そもそも見覚えすらなく。
みんな小綺麗な面立ちや格好をしていても、そんなの、関係ない。
異様な事態に気持ち悪すぎて吐きそう。
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