過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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810:1/3[saga]
2016/03/03(木) 23:11:22.62 ID:lLJ9XJv3o
>>787
タイトル「遺品整理士、片倉伊織の備忘録」


中空に漂う埃のカーテンをくぐり、揮発した防腐剤や塗料の混ざった空気を鼻腔に満たしながら見落とさないよう注意深く部屋を見渡す。

まず目についたのはカビまみれの木彫りフクロウ。 素人目から見てもやや歪なそれは彼の手作りだろうか。


幽霊『いや。 そいつは孫の贈り物じゃよ』

伊織「よくできてますね。 ……このまま置いておきましょうか」

幽霊『好きにせい。 それは生きてる者が判断することじゃ』

伊織「では、私が貰っておきます」

幽霊『ふん』


塵まみれの置物を黒塗りのアタッシュケースへ無造作に放り込む。 どうせ元から整理が行き届いてないのだ、これ以上汚くなることはない。

家主から渡されたリストを頼りに再び物色を始める。 しかし私の獲物は半世紀前の腕時計でも、やたら古めかしい骨董品でもありはしない。


幽霊『お主から見て右奥の引き出し、その床下じゃ』

伊織「そうですか。 やけに素直ですね」

幽霊『さあの。 元々あのバカ義娘にかっさらわれるぐらいなら捨てようと思っていた金じゃ』

幽霊『ヤツに見つけられるのも癪じゃし、もったいないからお主にくれてやるわい』

伊織「強欲なんですね、娘さん。 まあ私も人のことは言えませんが」


思い出の品で肥えに肥えた棚を引きずると、床に刻まれた引っ掻き傷がわずかに密度を増す。

錆びついた収納庫の蓋を引きはがすと、思わず感嘆の声が漏れた。


100人組の伊藤博文、およそ30小隊。

―――――約3000万円。



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