過去ログ - 八幡「真のぼっち」
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16:名無しNIPPER[saga]
2015/06/21(日) 13:46:42.15 ID:KKdbAala0
「あ、ああ、そういえばそうだったな。スマンスマン、次から気をつけよう。それでだな、今回はコイツを」

 そう言って先生の声が途切れた。俺は顔の前に手を翳して恐る恐る目を開いていく。
窓際の少女の美しさが瞼の裏側にまで焼きついたかと思ったが、どうやらそんな事は無かったらしい。
詩人か俺は。
眩しさになれると徐々に教室内の風景が俺の網膜に像を結んでいった。
先生が半身でこちらを振り返っている。そして少女も俺を見ているらしい。

「そちらのパッとしない方が?」

 いつまでも固まったままでいる先生を怪しんで少女が先を促すようにそう口にした。

「彼は比企谷。入部希望者だ」

 そう言うと先生は俺の顔を見るが、目を合わせるとサッと逸らされてしまった。
が、自己紹介をしろという事なのだろうと解釈した俺は会釈しながら少女を正視した。

「2年F組比企谷八幡です。所で先生、入部って本気ですか」

 が、今は少女以上に俺の関心を買うものが有った。先生の発言だ。
確かに予想通りの展開だし、きっとこの抵抗は無意味に終わるだろうが、それでも姿勢ぐらいは示した方が良いだろう。

「あ、ああ、君の性根を変えることは困難だろうが、ここに入れば君も人と人の繋がりに興味を持てるかもしれない。ここで勉強したまえ。ちなみに異論反論抗議質問口答えは認めない」

 先生の厚意を断るなら間違いなく今だろう。
先生一人が入部を強制した所で、この学校には部への所属を強制する校則がないので、他の先生なりに訴えかければ後から俺の入部を撤回させることも可能だろうが、厚意をそういう躱し方をするのは流石に仁義に反するし、そうした手段を用いないにしろ一度でも承諾してしまえば俺が約束を一方的に反故にする事になってしまう。
それは嫌だ。

 では入部した場合に俺の生活にどんな影響が有るかを考えてみよう。
と思ったが、ぼっちの俺には放課後遊びに行くような用事はない。
だから今ここで部活を始めたとして影響を受けるのはバイトだけだった。
それも基本的には土日のフルタイムか夕方というゆるゆるのシフトだ。
大した影響はないだろう。ということはあれか。断る必要ももしかしたら無いのかもしれない。

「ええ、先生の厚意に感謝します。とはいえこれに関しては無為に終わると思いますけど」

 先生は俺の言葉を冗談と受け取ったのか、先生は鼻で笑った。

「彼はなんというか一風変わった人物で、孤立している可哀想な奴なんだ。人との付き合い方を学ばせたいと思ったが、私はそこまで暇じゃないし君の方が適任だろう。そういう訳で頼めるか」

 可哀想な奴だと言われた俺はどんな顔をすれば良いんだ。が、少女の顔にも先生の冗談に対する笑みは浮かばなかった。というか先生今のは冗談ですよね。

「先生なら殴るなり蹴るなりすれば速いのでは?」



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