過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:14:05.51 ID:O6N65gcso
 会場のほうでわあっ、と歓声が湧いたのが聞こえた。
 流れていたBGMがいつの間にか、消えていた。じっとりと空気が張り詰める。

 いよいよ、開演する。これで、最後なんだ。

「律子、気分はどうだ」

 彼の声は鼓膜を震わせても、頭までは届いていないような気がした。

「プロデューサー、手ぇ握ってください」

 右手を目の高さまで持ち上げると、それは自分の身体と思えないほど他人行儀に強張っていた。
 プロデューサーは軽く頷いて、ぎゅっと両の手で私の手を包んだ。

「……手汗は大丈夫ですか」

彼の骨ばった手の意外な感触に、のんきなことを言えるくらいには緊張がとけた気がした。

「いいライブを期待してるよ」

 そう言って、プロデューサーは手を離した。
 私はにっと笑ってみせて、トンと右手を彼の胸元に押し付けた。


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