過去ログ - 今日も、我那覇響はアイドルである。
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11: ◆uOJ/TvTGhw[saga]
2015/06/27(土) 12:50:07.50 ID:Q4dHKF280
 マンションの階段を登る。響の部屋の前まで来た彼女は、ドアノブに手をかけ、扉を開けた。鍵はかかっていない。彼女も、鍵は持っていない。
「ただいま」
「おかえり」
 彼女を出迎える、彼女と瓜二つの少女。我那覇響。この家の主。
「どうだった? 今日1日」
「楽しかったよ」
 満面の笑みで答える、響と瓜二つの少女。
「そうそう、生放送ちゃんと見てたぞ! ちゃんと踊れてたじゃないか!」
「ふふん、まあ、「自分完璧」だしね?」
「うぎゃー! それ自分のセリフだぞー!」
 同じ顔の少女が2人。しばらく笑い合った後に、響は自分そっくりの少女に向かって落ち着いた声で話した。
「……本当に、今日1日だけで良いのか?」
「うん。というより、実はそんなに時間が残ってないんだ。元々この世界には居ないはずだから」
 響は思い返す。彼女と初めて会ったのは、今から2週間前。最初は、自分の生き写しのような彼女に驚いたものの、彼女の話を聞いている内に、自然と助けになりたいと思い始めた。
 彼女の名前はひびき。本人曰く、こことは違う世界から迷い込んだらしく、1日だけ響と入れ替わってアイドルをしたかったのだと言う。響はそんなファンタジーな話があるのかと思いつつも、彼女の言う別の世界の話や、彼女が響になりきるためにしてきた努力を見て、今日1日、ひびきに事務所へ行かせる約束をしたのだった。
「時間がない、って?」
「多分、ひびきの友達がひびきのことを探してるんだ。ほら、今ひびきは迷子みたいなものだから。そろそろこっちの世界に来て3週間くらいかな。多分、友達のこと見たら響もびっくりすると思うぞ」
「……もうお別れなのか?」
「どのみちここには長く居られないよ。もし記者の人かなんかに感づかれたら、響に迷惑がかかる」
「そうかもしれないけど……」
 家のチャイムが鳴る。響がはっとしてインターホンに出ると、受話器の向こうから聞き慣れた親友の声そっくりの、しかし口調の異なる声が聞こえた。
「我那覇響さんのお宅でしょうか」
「そうだけ……そうですけど」
「私の友人が訪ねている筈なのですが、会わせて頂いてもよろしいでしょうか」
「あ、うん、えっと……ひびき」
 響に言われ、ひびきが扉の鍵を開ける。扉を開けると、その向こうに立っていたのは金髪の女性――たかねだった。
「迎えに来ましたよ、ひびき」


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