48:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:49:22.86 ID:BVZ5thB50
カラオケの最中、おれは一つだけ仮説を思いついた。
千反田はなんらかの事情で古典部をやめようとしているというもの。
千反田の歌う姿を目にしてその可能性は崩された。
49:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:50:44.46 ID:BVZ5thB50
「あれ〜 省エネくん?」
トイレからでた直後、背後から声がする。振り向くと柔和な笑みを浮かべた女が手を振っている。
「よう、クワガタ女」
50:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:53:00.46 ID:BVZ5thB50
「久しぶりー。こんなとこで会うなんてねー」
二年生の頃、倉橋とは班が同じだった関係で行動を共にした。
放課後を一緒に過ごした時間は古典部を除けばもっとも長い。
51:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:53:37.08 ID:BVZ5thB50
それからしばらく共通の知り合いの近況を報告し合い、
「じゃあ省エネくん、また今度お話しよ」
ひらひらと手を振って去って行く。
52:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:54:13.20 ID:BVZ5thB50
真夏の太陽のような笑顔がこちらを向く。俺は問う。
「季節外れの催しものを開くのはどんな事情があると思う?」
人差し指を口元にあてて、目線は虚空をさまよっている。質問が分かりにくかったか。
53:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:54:45.04 ID:BVZ5thB50
「省エネくん、それ頭固いよー」
「教えてくれないか」
「何も卒業だけが別れってわけじゃないでしょ。 人それぞれの別れっていうのがあるはずだよー」
54:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:55:56.91 ID:BVZ5thB50
週が明け、月曜の放課後。
いつものように部室でのんべりだらd…間違えた。後輩に勉強を教えていた。
そんな折、いずるが手洗いで席を立つ。
55:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:56:43.21 ID:BVZ5thB50
「ねぇ折木」
伊原がスマホに目を落したまま言う。
「あんたさあ、早く言った方がいいわよ」
56:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:57:53.31 ID:BVZ5thB50
「私はあんたのこと正直どうでもいいけど。 でも三年間近くも一緒にいるんだから嫌でも気付くわよ。
部活にきたらちーちゃんに目が行ってるの、知ってるんだからね」
「そうか」
57:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:58:45.36 ID:BVZ5thB50
「あ、そうだ折木」
覗き込むように、ひょっこりと顔だけをこちらへ見せ、
「なんかあったら言いなさいよ。その、あたしにできる範囲なら手伝うから」
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