過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:53:56.28 ID:KG8R2sxio
雪ノ下が生徒会長になり、生徒会から奉仕部に来れなくなるのであれば。
俺たちもそこに行くことができるなら、それは三人の居場所に成り得るのではないか。
「でも、今回は……なにも失わずに守るのは無理だよ……」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:55:27.73 ID:KG8R2sxio
「あ、いや、えっと。その……」
自分のことを言われているわけがないのに、こんなときにまでその言葉に反応してしどろもどろになってしまった。慌てて話を続ける。
「好きなのは、その、なんとなくわかってる。けどそれは奉仕部ってわけじゃないだろ。例えば、仮に雪ノ下と俺がいなくてもお前は奉仕部を守るのか」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:57:26.67 ID:KG8R2sxio
俺はそう望んでいない。由比ヶ浜もそうであってほしい、そうであってくれとささやかな祈りを込めて話す。
「ううん、そんなことない。そんなの、やだし。先のことなんてわかんないけど、卒業してもずっと一緒がいい……」
「それならなおさら、奉仕部にこだわることなんかねぇだろ。守るべきなのはあの場所じゃない、この繋がりだ」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 21:58:48.38 ID:KG8R2sxio
「ヒッキー……そんな風に思ってくれてるんだ、嬉しいな……。けど、どうするの?部活とかなんか理由がないとヒッキーは帰っちゃうし、ゆきのんは生徒会にかかりきりになるじゃん……」
「あの部活がなくなったとしても別の形で、同じようにいられる手段ってあるんじゃねぇか。例えば……生徒会とか」
「……えっと、三人で生徒会に入るってこと?」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:00:47.31 ID:KG8R2sxio
「む、無理じゃないかも……。じゃあ、ゆきのんはもう引き留めないんだね?」
「ああ。雪ノ下が自分で決めたことだから、もうそれは止めない、止めちゃいけない気がする……。だから生徒会長になってもらう」
雪ノ下が生徒会長をやるのを私の意思と言ったことが、やってもいいと言ったことが本音なら。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:02:02.53 ID:KG8R2sxio
きっと俺のやり方を押し付けたままでは、彼女たちの選択を単純に否定したままでは素通りしていたのではないかという気がした。
「あ、あたしはどうすればいいのかな?副会長、とか?立候補?」
「そうだな。なんかの役職に立候補すればいいんじゃねぇか。副会長か……お前に向いてそうなのは会計かなと思うけど。なんか主婦みたいな謎の会計能力持ってるし……」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:03:28.14 ID:KG8R2sxio
「……俺はなにに立候補しても当選なんかしねぇからな、役付きは無理だ。庶務ってとこだな」
情けない話だが、たぶん信任投票でも不信任になる。あの悪評がどこまで広まっているのか定かではないが、相手がいなくても厳しい戦いになることは間違いない。
やはり今の俺を苦しめるのは過去の俺だ。ならば、未来の俺を苦しめるのは今の俺なんだろう。
17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:04:46.52 ID:KG8R2sxio
「そう、なのかな……。でも確かにああいうのやってる時のゆきのんって、イキイキしてて楽しそうだよね」
「あいつは俺と同じで理由がないと、建前がないと自分で動けないんだよ、たぶん。一色の依頼で生徒会長をやってもいいって理由が与えられたんじゃねぇか」
雪ノ下と俺が似ているとはもう思っていないが、ある意味では同種の人間なのかもしれない。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:06:42.10 ID:KG8R2sxio
最終的には、俺個人の願望と呼んでも差し支えはないものではあるが。
「ゆきのんてさ、なんでそういうの言ってくれないのかな……。ちゃんと言ってくれたらわかるのに……」
由比ヶ浜は唇を尖らせて足元の小石を蹴る仕草をする。なんだそのいじらしい仕草は……。由比ヶ浜らしいな。可愛い……かもしれない。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:08:41.06 ID:KG8R2sxio
なんでもないはずの依頼がここまで気まずくなるほどこじれたのは、修学旅行の俺の行動のせいだ。俺のついた嘘のせいだ。
俺はかつて誰かと共有していたと思っていたあの信念を、取り戻せているだろうか。
「ううん。ヒッキーに任せっきりだったあたしたちも悪いから……」
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