過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:09:53.29 ID:KG8R2sxio
「じゃあ、もうちょっと、一緒に帰るか」
「え?あ、うん……。ね、ヒッキー」
「なんだ」
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:11:14.19 ID:KG8R2sxio
「……好きにしろ」
顔を背けながら無愛想な言葉を返す。
俺がそれを望まないからと、願望を押し付けただけではあるが、それがお互いの望みと重なるのであれば。
22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:14:16.64 ID:KG8R2sxio
「そうなの?」
「ああ。お前らに俺の感傷を押し付けるなんてしたくねぇって思ってたけど……。それでも俺は、お前が守ろうとして何かを失うのは見たくない。そう思って順番に考えたらさっきの結論になった」
半歩後ろを歩く由比ヶ浜の足音が聞こえなくなったので、何事かと振り返って顔を見る。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:15:17.74 ID:KG8R2sxio
「そう。じゃあまた今度、別のとこならいい?」
やっぱり!由比ヶ浜はその言葉を逃してくれなかった。違うんですよ……そうじゃなくてですね……。
「いや、今度もねぇから……」
24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:16:47.22 ID:KG8R2sxio
聞かれてもないのに唐突に、何に対してか、誰に対してかもわからない言い訳を吐き始める。
やだ……八幡くん気持ち悪い……。
「……わかったよ、そういうことにしとくよ」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:18:04.87 ID:KG8R2sxio
またそんな風にして、どこまでも優しい由比ヶ浜の言葉すら疑ってしまう。
無条件に信じることのできる他人は、今のところ俺には誰もいない。
そんなことを考えずに済む、わかっていると言えるような他人は、俺の人生に登場するのだろうか。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:19:02.26 ID:KG8R2sxio
由比ヶ浜と話をした翌日に、二人を部室に呼び出した。
俺と由比ヶ浜の方針は決まった。三人の話なのだから、雪ノ下に話すのは早いほうがいい。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:21:06.96 ID:KG8R2sxio
「私たちの、結論?」
「そうだ。お前の意思は変わらないか?」
「変わらないわ。これが最善手よ」
28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:22:32.16 ID:KG8R2sxio
由比ヶ浜は俺と視線を交わし、合図を寄越す。わかってるよ、ここまではちゃんと考えてたことだから。
意を決して、前もって用意していた答えを伝える。
「おお。わかったよ雪ノ下。お前は生徒会長になれ。それで、奉仕部はもう終わりだ」
29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:24:55.72 ID:KG8R2sxio
雪ノ下にそんなキャパシティはないし、要領よくやれるほどの器用さがないことも知っている。
だから奉仕部は形を変える必要があるのだ。
「……そう。わかったわ。でも奉仕部がなくなっても、私は……」
30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:26:01.02 ID:KG8R2sxio
生徒会長に立候補すると俺に伝えた声とは違い、透き通ったような、優しさに溢れた話し方だった。
「え?由比ヶ浜さん、どういう……」
意味がわからないといった様子でわかりやすく狼狽える。そこへさらに俺が言葉を追加して畳み掛けた。
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