過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:02:02.53 ID:KG8R2sxio
きっと俺のやり方を押し付けたままでは、彼女たちの選択を単純に否定したままでは素通りしていたのではないかという気がした。

「あ、あたしはどうすればいいのかな?副会長、とか?立候補?」

「そうだな。なんかの役職に立候補すればいいんじゃねぇか。副会長か……お前に向いてそうなのは会計かなと思うけど。なんか主婦みたいな謎の会計能力持ってるし……」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:03:28.14 ID:KG8R2sxio
「……俺はなにに立候補しても当選なんかしねぇからな、役付きは無理だ。庶務ってとこだな」

情けない話だが、たぶん信任投票でも不信任になる。あの悪評がどこまで広まっているのか定かではないが、相手がいなくても厳しい戦いになることは間違いない。

やはり今の俺を苦しめるのは過去の俺だ。ならば、未来の俺を苦しめるのは今の俺なんだろう。
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:04:46.52 ID:KG8R2sxio
「そう、なのかな……。でも確かにああいうのやってる時のゆきのんって、イキイキしてて楽しそうだよね」

「あいつは俺と同じで理由がないと、建前がないと自分で動けないんだよ、たぶん。一色の依頼で生徒会長をやってもいいって理由が与えられたんじゃねぇか」

雪ノ下と俺が似ているとはもう思っていないが、ある意味では同種の人間なのかもしれない。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:06:42.10 ID:KG8R2sxio
最終的には、俺個人の願望と呼んでも差し支えはないものではあるが。

「ゆきのんてさ、なんでそういうの言ってくれないのかな……。ちゃんと言ってくれたらわかるのに……」

由比ヶ浜は唇を尖らせて足元の小石を蹴る仕草をする。なんだそのいじらしい仕草は……。由比ヶ浜らしいな。可愛い……かもしれない。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:08:41.06 ID:KG8R2sxio
なんでもないはずの依頼がここまで気まずくなるほどこじれたのは、修学旅行の俺の行動のせいだ。俺のついた嘘のせいだ。

俺はかつて誰かと共有していたと思っていたあの信念を、取り戻せているだろうか。

「ううん。ヒッキーに任せっきりだったあたしたちも悪いから……」
以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:09:53.29 ID:KG8R2sxio
「じゃあ、もうちょっと、一緒に帰るか」

「え?あ、うん……。ね、ヒッキー」

「なんだ」
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:11:14.19 ID:KG8R2sxio
「……好きにしろ」

顔を背けながら無愛想な言葉を返す。

俺がそれを望まないからと、願望を押し付けただけではあるが、それがお互いの望みと重なるのであれば。
以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:14:16.64 ID:KG8R2sxio
「そうなの?」

「ああ。お前らに俺の感傷を押し付けるなんてしたくねぇって思ってたけど……。それでも俺は、お前が守ろうとして何かを失うのは見たくない。そう思って順番に考えたらさっきの結論になった」

半歩後ろを歩く由比ヶ浜の足音が聞こえなくなったので、何事かと振り返って顔を見る。
以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:15:17.74 ID:KG8R2sxio
「そう。じゃあまた今度、別のとこならいい?」

やっぱり!由比ヶ浜はその言葉を逃してくれなかった。違うんですよ……そうじゃなくてですね……。

「いや、今度もねぇから……」
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:16:47.22 ID:KG8R2sxio
聞かれてもないのに唐突に、何に対してか、誰に対してかもわからない言い訳を吐き始める。

やだ……八幡くん気持ち悪い……。

「……わかったよ、そういうことにしとくよ」
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:18:04.87 ID:KG8R2sxio
またそんな風にして、どこまでも優しい由比ヶ浜の言葉すら疑ってしまう。

無条件に信じることのできる他人は、今のところ俺には誰もいない。

そんなことを考えずに済む、わかっていると言えるような他人は、俺の人生に登場するのだろうか。
以下略



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