過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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171:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:51:08.65 ID:KP3+ivsDo
彼は自らの在り様をはっきりと決めているし、私も深く関わる気はもうない。ただ家の付き合いがあるから、関係が切れるということもないが。
なんにせよ、彼の口から真実を語るまで正しいと思える答えなど出ない。そして彼が私に真意を言うこともないだろうから、私にはきっとわからないままだろう。
ならば考えるだけ無駄だ。彼のことは一人の生徒会役員として、これまで通り特別なことは何もなく、自然に振る舞えば問題ない。
172:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:52:46.49 ID:KP3+ivsDo
「うす。なんの用だよ」
「はは……一応俺も生徒会のメンバーなんだけどな。というか、いろはから聞いてないか?」
「一色さんから?」
173:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:53:46.59 ID:KP3+ivsDo
葉山君も比企谷君と同じように、こういった建前のようなものを用意しないとなかなかに誘い辛い人間だということを私は知っているから。
「え、なになに?いろはちゃんと葉山君も行くってこと?」
「そうなるわね」
174:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:54:41.15 ID:KP3+ivsDo
心底うんざりした顔で比企谷君は話す。
「ダメに決まってるじゃん。もともとヒッキーのを買いに行こうとしてたんだよ?」
「そうよ。あまり考慮する気はないけれど一応あなたの意見も聞かないと」
175:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:56:14.02 ID:KP3+ivsDo
「ところで、何を買いにどこに行ってるんだ?」
私と由比ヶ浜さんの前を歩く葉山君が、後ろに向かって尋ねた。横には一色さんがくっつくように並んで歩いている。
「んーとねー、生徒会室でよくゆきのんが紅茶淹れてくれるんだけどね、ヒッキーはずっと紙コップだったからそろそろティーカップとか買おうと思って」
176:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:57:27.93 ID:KP3+ivsDo
あまりに自然だったので私は一瞬気付くのが遅れた。由比ヶ浜さんは私に驚いた視線を送り、一色さんははわわっと変な声を漏らして戸惑っている。
最後尾で自転車を押している比企谷君は、葉山君を無言で見つめていた。
「っと、比企谷はどんなの買うつもりなんだ?」
177:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:58:28.96 ID:KP3+ivsDo
「……ま、任せてよ!いいの選んだげるから」
「なんだよその謎の自信は。……不安しかねぇな」
「ヒッキー、失礼だよ!もう超可愛いの選んでやるんだから」
178:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 17:59:43.31 ID:KP3+ivsDo
「どうしたの?」
「ヒッキーのだけどさ、お金も半分こだから選ぶのも半分こにしない?」
「どういうことかしら」
179:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 18:01:30.43 ID:KP3+ivsDo
むしろ私が由比ヶ浜さんにいろいろとお礼を言わないといけないのに、これまで素直になれずなかなか伝えられていない。
由比ヶ浜さんは私にはできない気遣いができる。私が今こうしていられるのは彼女の尽力によるところも大きい。
私が他人と比較してわかるのは、自分が如何に欠落した人間であるかということだけだ。
180:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 18:02:31.12 ID:KP3+ivsDo
それはまだ、今はわからないことだった。
そのまま五人でとりとめのない会話をしながら、学校から歩いていける距離の、駅近くにある複合商業施設へ向かった。
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